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京都地方裁判所 平成23年(ワ)602号 判決

原告

被告

主文

一  被告は、原告に対し、六二〇万八三四三円及びこれに対する平成一九年四月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを四分し、その一を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。

四  この判決の一項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  被告は、原告に対し、二六二二万八四〇三円及びこれに対する平成一九年四月一三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  仮執行宣言

第二事案の概要

本件は、対向車線に侵入した被告運転の車両が対向車線を走行中の原告運転車両に正面衝突した交通事故について、原告が、被告に対し、民法七〇九条に基づき、損害賠償を請求する事案である(遅延損害金請求の起算日は事故の日)。

一  争いのない事実(後記(1))及び容易に認定できる事実(後記(2)、(3))

(1)  交通事故の発生

平成一九年四月一三日午後六時四〇分ころ、京都府綴喜郡宇治田原町大字奥山田小字桂谷三〇番地先北東約一・二キロメートルの国道三〇七号線において、普通乗用自動車を運転していた被告は、居眠り運転をし、自車を道路中央ポールを乗り越えて対向車線に侵入させ、折から対向車線を走行していた原告運転の普通乗用自動車に正面衝突させる交通事故(以下「本件事故」という。)を発生させた。

(2)  原告の通院状況

① 原告(昭和二二年○月○日生)は、本件事故当日の平成一九年四月一三日、a病院を受診し、頸椎捻挫、左肩打撲傷と診断され(甲八の一・二)、同月一六日、一七日、同年五月二日、同月二三日、同院の外来診療部門であるbクリニックを受診し(甲九の一ないし六、弁論の全趣旨)、同年一〇月一五日、再び、a病院を受診した(甲八の四・五)。

② 原告は、平成一九年四月二一日、c医院を受診し、頸部捻挫、両肩関節捻挫、下腹部打撲、両膝部下腿部打撲の診断を受け、同年一一月一五日まで通院した(実通院日数七四日)(甲一〇の一ないし一六)。

平成一九年六月三〇日以降の診断名は頸部捻挫、左肩関節捻挫である(甲一〇の五・七・九・一一・一三・一五)。

③ 原告は、d針灸院に次のとおり通院した(甲二の一ないし八四)。

ア 平成一九年四月二四日から平成二一年一一月三日まで(実通院日数一二〇日)

イ 平成二二年三月一八日から同年七月一三日まで(実通院日数一四日)

ウ 平成二二年一〇月六日

④ 原告は、平成二二年一〇月四日、e病院を受診し、頸椎捻挫、両肩捻挫の診断を受けた(甲三、四)。

(3)  後遺障害等級認定

損害保険料率算出機構は、原告の後遺障害につき、平成二二年九月一〇日、自賠責保険における後遺障害には該当しないと判断した(甲二二、乙七)。

原告がこれに対して異議申立てをしたところ、損害保険料率算出機構は、平成二三年一月二五日ころ、頸部捻挫等後の項頸部痛・頸肩部筋拘縮と左肩関節痛は、いずれも将来において回復困難と見込まれる障害と捉えられ、器質的損傷が認められず、他覚的所見がないことから自動車損害賠償保障法施行令別表第二(以下、単に「別表第二」という。)の一四級九号該当とし、併合一四級と判断し、左肩関節の可動域制限については、外傷性の異常所見がなく、神経損傷等も認められないので、関節可動域制限の原因となる客観的所見に乏しく、自賠責保険における後遺障害には該当しないと判断した(甲一四、二二、乙七)。

二  争点及びこれに関する当事者の主張

(1)  原告の損害―治療費

① 原告の主張

ア d針灸院の施術費は五六万四〇〇〇円、e病院の治療費は八一〇円である(a病院、bクリニック及びc医院の治療費は、被告の契約した保険会社から支払を受けたので請求しない。)。

イ 原告は、d針灸院に行くと、二日程度痛みが軽減していた。このように同院での施術は、現に効果が認められ、原告の傷害の治療のため有効かつ相当なものであった。

ウ 原告は、平成二二年一〇月四日、症状固定した。c医院医師作成の平成二二年四月五日付け後遺障害診断書(乙四)には、症状固定日平成一九年一一月三〇日と記載されているが、同診断書の記載内容全体からすると、同医師は、同院の診療録の記載が同日までであったので、その日を症状固定日として記載したにすぎないことが明らかである。

② 被告の主張

ア d針灸院への通院は、医師の指示によるものではなく、施術内容が不明で施術を受けてもごく一時的に楽になるだけで症状に特に有効かつ相当であったと認めうる要素はないから、同針灸院の施術は、本件事故と相当因果関係のある損害と評価できない。

イ 本件事故による負傷の治療として有効かつ相当なのは、c医院における治療に尽きるが、同院への通院は平成一九年一一月三〇日が最後であり、それまでに相当の症状改善があったことが通院中止の核心的理由とみられ、その後にこれといった症状の改善はないから、同日が症状固定日である。

(2)  原告の損害―文書料

① 原告の主張

ア 原告は、診断書等の文書料として、c医院に対し二六二五円、e病院に対して五二五〇円(後遺障害診断書料)、計七八七五円を支払った。

イ 原告は、c医院医師作成の後遺障害診断書(乙四)を添付して後遺障害事前認定の申立てをしたが、後遺障害非該当とされたため、平成二二年一〇月四日、e病院を受診して後遺障害診断書(甲四)を作成してもらい、これを添付して異議申立てをしたところ、後遺障害等級併合一四級の事前認定を受けた。したがって、e病院の文書料も必要かつ相当な費用であり、本件事故によって生じた損害に含まれる。

② 被告の主張

e病院の文書料は平成二二年一〇月四日付けの後遺障害診断書(甲四)作成料であるが、原告は、平成二二年四月五日にc医院において後遺障害診断書(乙四)を作成してもらっており、症状固定日は、同後遺障害診断書に記載されたとおり平成一九年一一月三〇日であるから、e病院で後遺障害診断書を取り直す必要はなく、同院の後遺障害診断書作成料は、本件事故と相当因果関係のある損害に含まれない。

(3)  原告の損害―休業損害

① 原告の主張

ア 原告は、本件事故当時、f株式会社(以下「f社」という。)の代表取締役を務めていた。平成二〇年八月二〇日、平成一八年九月二五日を退任日とする原告の代表取締役退任登記がなされているが、実際は、本件事故後の平成一九年夏ころまで代表取締役を務め、そのころ、代表権を長男のA(以下「A」という。)に渡した。f社は原告の設立した会社で、原告が一〇〇パーセントの株式を所有しており、原告は、営業に回って仕事を取り、配車をし、従業員(一名の女性事務員を除き全員男性運転手)と原告が輸送業務を行い、Aが経理を担当している。本件事故後、原告は、痛みや左肩関節の可動域制限で積荷の上げ下ろしができないため自ら車を運転して運送を行うことができなくなったほか、痛みや通院で時間を取られたため営業・配車業務が十分できなくなったが、同業務で原告を代替できる者はいない。そのため受注できる仕事が減少し、本件事故当時一〇三〇万円であった原告の年収は、平成二〇年度が九四〇万円(九〇万円減少)、平成二一年度が六六〇万円(三七〇万円減少)、平成二二年度が五九八万円(四三二万円減少。症状固定日である同年一〇月四日までの減少額は三二七万八四六六円)と大幅に減少した。

したがって、本件事故により、計七八七万八四六六円の休業損害が発生した。

イ 本件事故当時、原告は一〇三〇万円の役員報酬を得ていたが、その一〇〇パーセントが労務対価である。すなわち、f社は、原告の設立した小規模のワンマン会社であり、原告は、代替要員のいないf社の唯一の営業・配車担当者であり、実際の運送業務も担当していた。報酬年額一〇三〇万円は、他の役員の報酬や従業員の給与と比較しても不相当に高額ではないし(輸送業務という単純で代替性のある作業を行う従業員ですら月額六〇万円弱の給与を得ていた。)、平成一九年センサス賃金で最も高額な大卒五〇歳ないし五四歳の平均賃金八六八万八一〇〇円と比較しても高額とはいえない。また、原告の報酬額は、本件事故後減少している。これらの点からすると、本件事故当時の原告の報酬一〇三〇万円は全額が労務対価である。

② 被告の主張

ア 原告に休業損害は発生していない。

(ア) f社は、従業員二〇数名を擁するという相当な企業の規模の会社で、また、本件事故が発生したころから運送業界は深刻な不況に陥っており、運送会社の従業員の稼働率は相当低下していたものと推測されるから、原告一人が負傷して運送業務に従事できなくなったとしても、戦力の低下は限定的で待機中の労働力で十分補えたはずである。また、原告の負傷が営業活動に与える影響についてみても、頸部や左上肢関節の負傷が営業活動に具体的にどのような影響を与えるのか不明である。原告の主要取引先の規模の大きさ及び取引期間の長さからして、原告が負傷しただけで主要取引先からの発注が減らされるとは思えない。

(イ) 平成一九年四月ころから平成二一年末ころまでは、後記のとおりf社の業績が著しく悪化しているにもかかわらず、役員報酬の総額はほとんど変化がない。原告についても、平成二〇年九月から報酬月額が大幅に減額されているが、名目取締役である妻B(以下「B」という。)の報酬年額は、平成一九年に比し平成二〇年及び平成二一年の方が増額しており、実質的には原告の報酬は平成二〇年九月の前後で減額はない。

(ウ) 原告の報酬月額は、平成一九年四月から同年九月までの間、従前の九〇万円から八〇万円に一〇万円減額されているが、原告は、f社の業績や原告の営業への寄与度の短期的な変化に影響を受けることなく報酬を受領しうる立場にあったから、本件事故後に原告の報酬を減額する必要性があったとはいい難い。仮に、上記月額一〇万円の減額が本件事故による受傷を理由とするものであったとしても、それは原告による自主的な辞退とみられ、同事故と相当因果関係のある損害と評価することはできない。

(エ) 以上のとおり、原告には本件事故と因果関係のある休業損害は発生していない。

イ 仮に、原告に休業損害が発生したとしても、以下の理由により、原告の本件事故当時の報酬一〇三〇万円は休業損害の基礎収入とならない。

(ア) 企業の役員等、企業主の報酬には、一般に、労務の対価としての性質を持つ部分(以下「労務対価部分」という。)と当該企業の利益の配当としての性質を持つ部分(以下「利益配当部分」という。)とがあるところ、企業主が生命若しくは身体を侵害されたため、その企業に従事することができなくなったことによって生ずる財産上の損害額については、原則として、報酬中の労務対価部分の割合によって算定すべきである(最判昭和四三年八月二日参照)。よって、企業主が交通事故に遭って負傷した場合であっても、当該企業主が死亡すれば廃業のやむなきに至りかねない等特段の事情の存しない限り、当該企業主の事故以前の収益の全部が企業主の労務対価部分に当たるとみることはできない。本件は、上記特段の事情がある場合に当たらないことは明らかである。

(イ)a f社は、同族会社であり、本件事故後の同社の業績は業界全体の景況と軌を一にしており、原告の稼働状況が同社の業績に与えている程度は大きくない。f社の規模、利益状況は原告の労務対価部分の算定に当たって消極に作用する。

b 本件事故直前の平成一九年三月当時の原告の報酬月額は九〇万円であるのに対し、Aの代表取締役就任後の平成二〇年の平均報酬月額は五二万三一六七円、平成一九年当時f社で最高額の給与を受領していた従業員Cの平均月額給与は五七万九四一七円であり、原告の報酬は突出している。

c f社は、税引前で、平成一九年の決算期は五四四万〇一五四円の純利益を上げているものの、平成二〇年は八六九万六三二一円、平成二一年は二二九〇万〇一八二円、平成二二年は一一七七万七九五四円の純損失に陥っている。しかし、原告を含む役員にはほとんど減収が生じていない。この点は、原告の労務対価部分の算定に当たって、おおいに消極に作用する。

d 以上のような点からすれば、原告の報酬に占める労務対価相当部分は相当限定的である。特に、平成二一年のf社の損益状況からすれば、原告の報酬のうちの労務対価部分は五〇パーセント未満と評価されてもおかしくない。労務対価部分一〇〇パーセントなど、もってのほかである。

(4)  原告の損害―通院慰謝料

① 原告の主張

平成一九年四月一三日から平成二二年七月一三日(継続通院していた同日までを基準とする。)まで三九か月通院していた。その通院慰謝料は三〇〇万円を下らない。

② 被告の主張

前記のとおり、原告は、平成一九年一一月三〇日に症状固定した。

(5)  原告の損害―逸失利益

① 原告の主張

ア 原告は、本件事故により、左肩関節可動域が健側の四分の三以下に制限されており、別表第二の一二級(六号)以上の後遺障害を有し、労働能力の一四パーセントを喪失している。

イ 逸失利益の基礎収入は、本件事故当時の報酬年額一〇三〇万円とすべきである。

ウ 以上により、中間利息を控除して逸失利益を算定すると、一一九七万七二五二円となる。

10,300,000×8.306×0.14=11,977,252

② 被告の主張

ア 前記のとおり、本件事故後、同事故と因果関係のある減収はないから、逸失利益は発生しておらず、また、原告の労務対価部分が五〇パーセント未満と評価されてもおかしくない一〇三〇万円を基礎収入とすることはできない。

イ 関節可動域制限の原因となる客観的所見は乏しいから、原告の症状が別表第二の一二級六号に該当することは争う。

ウ 別表第二の一二級の神経症状が認められるのは、画像所見と神経学的所見があり、両者の関連性が認められる場合が多く、同一四級と認定されるのは、画像所見や神経学的所見があっても、他覚的証明があったと評価されるに至らないケースが基本である。原告の神経症状(疼痛)は、主訴はあるものの、画像所見及び神経学的所見が認められず、後遺障害等級としては非該当とすべきである。

(6)  後遺障害慰謝料

① 原告の主張

原告の後遺障害は、後遺障害等級一二級以上であり、被告の契約する保険会社が平成二三年一月二五日まで後遺障害を全く認めなかったことにより紛争が長期化したことに照らし、相当な後遺障害慰謝料は二八〇万円を下回らない。

② 被告の主張

後遺障害の残存を否認する。

(7)  寄与度減責、素因減額

① 被告の主張

原告は、本件事故に先立つ平成一八年一二月九日、交通事故に遭い(以下「先行事故」という。)、右下肢打撲、頸椎(頸部)捻挫の傷害を負い、同月中に六回(g病院、bクリニック、c医院)、平成一九年一月五回(c医院)、同年二月八回(同)、同年三月三回(同)通院し、c医院で通院治療中に本件事故が発生した。先行事故による上記負傷は、本件事故による原告の損害に一定の寄与をしている。また、原告は、過去に脳梗塞バイパス手術を受けたことでリハビリの方法が制限され、治療の長期化に繋がり、脳梗塞の既往歴は、被害者側の素因となっている。

そこで、寄与度減責として三〇パーセント、素因減額として一〇パーセント、計四〇パーセント程度の減責が認められるべきである。

② 原告の主張

原告は、脳梗塞の既往歴があるが、後遺症はなく、本件事故後のリハビリに影響を及ぼしたことはない。また、先行事故による負傷は、本件事故前に治癒していた。仮に、先行事故による負傷が本件事故による傷害に寄与しているとしても、本件事故による原告の後遺障害のうち、左上肢関節可動域制限(後遺障害等級一二級)及び左肩関節痛(同一四級)とは無関係であるから、後遺障害に係る損害については減責されない。

第三当裁判所の判断

一  被告の責任原因

運転者は、運転中眠気を感じたなら速やかに自車を道路脇等安全な場所に停止させるなどして居眠り運転にならないよう注意すべき義務があるところ、前記第二、一、(1)の事実によれば、本件事故は、被告が、上記義務を怠り、居眠り運転をして自車を対向車線に侵入させたことにより発生したものと認められる。したがって、被告は、原告に対し、民法七〇九条に基づき、本件事故により原告の被った損害の賠償義務を負う。

二  原告の損害

(1)  d針灸院及びe病院治療費

① d針灸院分

d針灸院での施術の必要性、相当性について判断する。

ア 前記第二、一、(2)のとおり、原告は、本件事故当日から平成一九年一一月一五日までの約七か月間、a病院、bクリニック及びc医院で、頸椎捻挫、左肩打撲、左肩関節捻挫等と診断され、通院治療を受けた。

甲一〇号証の一ないし一六、乙四号証によると、平成一九年四月二一日を初診とするc医院での診療において、当初、頸部については後屈と回旋の制限がかなり強く、ジャクソン・スパーリングテスト陽性、頸肩部の圧痛著明で、両肩の関節痛及び可動制限があったが、両上肢に神経学的異常所見はなく、初診日から消炎鎮痛剤の処方と理学療法(頸肩部にホットパック、頸椎牽引等)が開始されたこと、早い時期に頸椎のレントゲン検査をしたが、異常所見があった形跡はないこと、その後、頸肩部痛・頸肩部筋拘縮が持続し、両肩関節の疼痛・拘縮・可動制限も持続したこと、右肩関節の症状は次第に改善したが、左肩の関節痛及び可動域制限が強く残ったこと、左肩関節の可動域のうち屈曲(前方挙上)と外転(側方挙上)の中間位での挙上は改善したこと、担当医師は肩峰下滑液包炎を疑ったが、同年一〇月一五日、a病院で左肩関節のMRI検査を受けたところ、腱板損傷、骨挫傷、肩峰下滑液包炎、腱板構成筋群萎縮の所見は認められなかったこと、同年一一月一五日の最終通院時点で医師は、「頸肩部痛及び頸肩部筋拘縮が続き、左肩関節の拘縮も強い。理学療法を根気よく続ける以外妙案はないようである。」と診断したこと、医師は、同日をもって治療を中止としたものではないが、原告は、以後、c医院に通院しなくなったこと、以上の事実が認められる。

イ(ア) d針灸院での施術内容は、「マッサージ、針、灸等」(甲二四)という以外は、原告本人尋問の結果によっても明らかでない。

(イ) 原告は、平成一九年四月二四日からd針灸院への通院を開始しているが、同日からc医院への通院を止めた同年一一月一五日までの間については、同院で同年四月一三日の初診日から理学療法が開始されており、同院の医師が針灸院での施術を指示等した形跡がないことからして、更にマッサージ、針、灸を併用する必要性は認められない。

(ウ) 平成一九年一一月一六日以降の施術の必要性、相当性について検討する。

上記認定のとおり、同年一一月一五日の最終通院時点で、特に左肩関節の疼痛、可動域制限の症状が強く残っていたが、c医院の医師が理学療法を根気よく続けるほかないと診断したことからすると、その時点でなお症状改善の可能性はあったものと認められる。そして、甲二四号証及び原告本人尋問の結果によると、原告は、d針灸院での施術により疼痛軽減の効果があったが、効果は短期間しか続かなかったこと、本件事故直後と比較すると、現在は症状が改善していることが認められ、これらによると、d針灸院への通院により、途中までは一進一退を繰り返しながらも長期的には一定程度の症状改善がみられたが、後になると漸進的な症状改善の効果もなくなったものと考えられる。

以上に照らすと、平成一九年一一月一六日から約一年後の平成二〇年一二月末日までの間については、d針灸院での施術の必要性、相当性を肯認できるが、平成二一年一月一日以降についてこれを認めるのは困難である。

なお、c医院の医師は、平成二二年四月五日、症状固定日を平成一九年一一月三〇日と記載した後遺障害診断書を作成しているが(乙四)、上記診断書の記載内容を精査すると、上記医師は同日を症状固定日と認識していないことが明らかである。また、e病院の医師は、平成二二年一〇月四日、同日を症状固定日とする後遺障害診断書を作成しているが(甲四)、同日は、同院への唯一の通院日であり、上記診断書の記載内容からすると、上記医師は、原告の求めに応じ、原告の説明、主訴と肩関節可動域検査の結果のみから、上記診断書を作成したものと推認され、同診断書は、症状固定時期を判断する上で証拠としての価値は乏しい。上記認定説示によれば、平成二〇年一二月三一日をもって症状固定と認めるのが相当である。

ウ 甲二号証の三〇ないし八一によれば、平成一九年一一月一六日ないし平成二〇年一二月三〇日の施術費は計二〇万八〇〇〇円と認められる。

② e病院分

甲三号証によると、原告は、e病院に対して診療費として八一〇円を支払ったことが認められる。甲三、四号証によると、原告は、後遺障害診断書の作成を依頼することを目的としてe病院を受診し、治療は特に求めなかったことが認められ、これによると、上記診療費は実質的には後遺障害診断書(甲四)作成費用である。弁論の全趣旨によれば、上記診断書は、後遺障害等級の事前認定の際の資料となったことが認められるから、本件事故と相当因果関係のある損害と認められる。

③ 小計

原告主張の治療費のうち、本件事故と相当因果関係のある損害といえるのは、二〇万八八一〇円となる。

(2)  文書料

甲六号証によると、原告は、c医院に対し、平成二二年四月七日、保険適用外の費用として二六二五円を支払ったことが認められ、これは、同医師作成の同月五日付け後遺障害診断書(乙四)の作成費用と推測される。また、甲四号証、七号証によると、原告は、e病院に対し、同年一〇月四日、同日付け後遺障害診断書(甲四)の作成費用として五二五〇円を支払ったことが認められる。原告が一方的に通院を止めてから五か月弱経過後(c医院)又は初診でいきなり(e病院)原告の求めに応じて作成された上記各後遺障害診断書の価値は限られ、これに要した費用が本件事故と相当因果関係のある損害といえるかについては全く疑問がないわけではないが、e病院医師作成の上記診断書が後遺障害等級の事前認定の資料となったことは前記のとおりであり、弁論の全趣旨によれば、c医院医師作成の上記診断書も同様の資料となったことが認められるから、上記相当因果関係を認める。

したがって、二六二五円と五二五〇円の合計七八七五円は本件事故による損害といえる。

(3)  休業損害

① 乙一号証によると、f社は、平成九年に設立された発行可能株式総数八〇〇株、発行済株式総数五六〇株、資本金の額二八〇〇万円の取締役会設置会社、監査役設置会社であり、株式の譲渡制限があること、本件事故当時の商業登記簿上、原告は、f社の代表取締役であり、同社の他の取締役は原告の長男A及び妻Bの二名、監査役はD(原告の兄)であったが、平成二〇年八月二〇日、原告の平成一八年九月二五日取締役及び代表取締役各退任、A、B及びDの同日取締役又は監査役各退任の登記並びに原告及びBの平成二〇年七月三一日取締役各就任の登記、Aの同日取締役及び代表取締役各就任の登記及びDの同日監査役就任の登記がなされたことが認められる。

甲二四号証(原告の陳述書)には、平成一九年夏ころ、代表権をAに渡したとの記載があるが、いかなる行為をもって代表権を渡したというのか不明である。しかし、商業登記簿の上記記載によれば、原告は、本件事故当時、少なくもf社の代表取締役としての権利義務を有していたことになる(会社法三五一条一項)。

② 本件事故後における原告の減収の有無について検討する。

ア 甲一七号証によると、本件事故前三か月の原告の月額報酬は、平成一九年一月が一〇〇万円、同年二月及び三月は九〇万円であることが認められ、その平均は九三万三三三三円((100万円+90万円+90万円)÷3)(一円未満切り捨て。以下同じ)である。

ところで、被告は、企業の役員等、企業主の報酬には、一般に、労務の対価としての性質を持つ部分(労務対価部分)と当該企業の利益の配当としての性質を持つ部分(利益配当部分)とがあると主張するが、一般に、会社役員の報酬の中に、被告のいう労務対価部分と利益配当部分があるとの経験則の存在を認めるべき証拠はない。個人企業にあっては、当該企業の収益は、企業主の労務等の個人的寄与のみならず、当該企業の一切の人的・物的設備及び暖簾等の無形資産等が生み出すものであり、したがって、「企業主が生命もしくは身体を侵害されたため、その企業に従事することができなくなったことによって生ずる財産上の損害額は、原則として、企業収益中に占める企業主の労務その他企業に対する個人的寄与に基づく収益部分の割合によって算定すべきである」(最高裁昭和四三年八月二日第二小法廷判決・民集二二巻八号一五二五頁)といえる。このように個人企業においては、理論上も、企業収益の中に必然的に企業主の個人的寄与に基づかない収益が含まれてくるのに対し、会社(法人)においては、代表者その他の役員の委任又は準委任契約上の受任者としての任務遂行及び一切の人的・物的設備や無形資産等によって生み出される収益は、営業利益(最終的には当期純利益)として現れ、理論上は、役員報酬の中に、当該役員の任務遂行の対価(以下「任務対価部分」という。)以外に、利益配当としての性質を有する部分等が含まれることはあり得ない。もっとも、現実には、特に小規模企業において、税務対策上、過大な役員報酬を計上して、事実上の利益配当をしたり、代表者自身又は代表者と縁戚関係のある特定の者に対し、生活補償その他の目的から、会社の業績や任務の内容、遂行程度にかかわらず役員報酬名目で一定額の金員を支払うなどの例があることは当裁判所に顕著であるが、前示のとおり、このような事実上の処理が会社において一般的になされていることを認めるべき証拠はない。以上は、「会社」を小規模閉鎖会社又は同族会社に限定しても変わらない。したがって、個人企業の企業主と会社の役員とを同列にみる被告の上記主張は採用できない。

ただし、被害者である会社役員の休業損害の算定に当たっては、当該被害者の役員報酬中に任務対価部分以外のものが含まれている場合は、任務対価部分をもって基礎収入とすべきことは個人企業の企業主と同様である。

以下、本件事故当時、原告の報酬に任務対価部分以外のものが含まれていたかどうかについて判断する。

イ(ア) f社の概要、役員構成等は前記認定のとおりであり、甲二四号証及び原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、f社の株主は原告一名であること、同社の従業員は二〇数名(一名が女性事務員、他は男性運転手)で、原告は、営業及び配車を担当し(他に営業・配車担当社員はいない。)、自ら運転業務に就くこともあること、Aは経理担当であり、Bは名目取締役であったことが認められる。また、原告本人尋問の結果によると、本件事故当時、f社の取引先は、固定的・継続的な取引先が三社あるほか、複数の取引先があったこと、原告は、本件事故以前から、取引先との電話連絡で車両の空き時間に新たな仕事を受注する交渉を行って空き時間を埋めていき、できる限り効率的に車両及び従業員を稼働させるよう努めるなどの営業活動をしていることが認められる。

(イ) 甲一七号証によると、平成一八年の原告の報酬は、月額一〇〇万円、年額一二〇〇万円であると認められ、平成一九年一月、二月及び三月の月額報酬は、前記のとおりそれぞれ一〇〇万円、九〇万円及び九〇万円である。

甲五号証、一七号証によると、その後の報酬の推移は、平成一九年四月ないし同年九月が月額八〇万円、同年一〇月ないし平成二〇年八月が月額九〇万円、同年九月ないし平成二一年一二月が月額五五万円(年額にすると、平成一九年が一〇三〇万円、平成二〇年が九四〇万円、平成二一年が六六〇万円)であることが認められる。

(ウ) A及びBの平成一八年の報酬は不明であるが、甲一八、一九号証の各一ないし三によれば、平成一九年以降の両名の報酬年額は、次のとおりであると認められる。

A 平成一九年 五七二万六〇〇〇円(一二等分すると四七万七一六六円)

平成二〇年 六二七万八〇〇〇円

平成二一年 六六〇万円

B 平成一九年 六〇万円

平成二〇年 二〇〇万円

平成二一年 四八〇万円

(エ) 平成一八年の最高給の従業員の給与額も不明であるが、甲二一号証の一ないし三によると、平成一九年の最高給の従業員の同年以降の給与は、次のとおりであると認められる。

平成一九年 六九五万三〇〇〇円(一二等分すると五七万九四一六円)

平成二〇年 六九二万五〇〇〇円

平成二一年 六四二万一〇〇〇円

(オ) 甲一六号証の一ないし四によると、f社は六月末決算で、平成一八年六月期は運送純利益四七四二万二三四七円、営業損失三三万八九〇五円、平成一九年六月期は運送純利益四八四五万八一五六円、営業利益七二九万三三二二円、平成二〇年六月期は運送純利益四〇九五万七二一三円、営業損失七二四万八五四八円、平成二一年六月期は運送純利益二八六九万七七二八円、営業損失一七三七万七四九三円であることが認められる。

(カ) 前記認定事実によれば、f社は、比較的小規模の閉鎖会社で、かつ、原告の一人会社であり、原告以外の取締役二名のうち長男のAは実際に経理業務を担当しているものの、妻Bは名目取締役にすぎないが、原告は、営業及び配車という会社の重要業務を一手に引き受けており、Aや従業員の本件事故前年の報酬、給与及び平成一九年一月ないし同年三月の報酬、給与の月額が不明なため、原告との比較はしにくいが、平成一九年のAの年額報酬及び最高給従業員の年額給与をそれぞれ一二等分した額で比較すると、原告の報酬を月額九〇万円とした場合、Aはその約五三パーセント、最高給従業員はその約六四パーセントであるが、担当の職務、業務の内容の差異を考慮するなら、原告の報酬が突出して高額であるとはいえない(なお、Bは名目取締役であり、その報酬に任務対価部分はないから、比較の対象とならない。)。

しかし、f社の業績をみると、平成一八年六月期には若干の営業損失が出る程度で、平成一九年六月期には約七二九万円の営業利益があったが、平成二〇年六月期には反対に約七二四万円、平成二一年六月期には約一七三七万円の営業損失が出ているにもかかわらず、原告、A及びBの役員報酬の合計額は、平成一九年が一六六二万六〇〇〇円、平成二〇年が一七六七万八〇〇〇円、平成二一年が一八〇〇万円と毎年増額となっている。役員の任務遂行度と会社の業績とは比例的に連動するものではないが、会社の業績は役員の任務遂行度合いの一つの徴表ではあり、本件事故後の事情とはいえ、会社の業績が相当悪化しているのに役員報酬が増額されていることは、f社における役員報酬の性質を考える上で無視できず、同事故当時の原告の報酬には、任務対価部分以外のものが全く含まれていないとはいい難い。

以上の諸般の事情を勘案すると、本件事故前三か月の原告の平均月額報酬九三万三三三三円の約九〇パーセントに相当する月額八四万円をもって本件事故当時の原告の報酬の任務対価部分の額(基礎収入)と認めるのが相当である。

ウ 平成一九年四月一三日から平成二〇年一二月三一日の症状固定日までの二〇か月と一七日間における原告のうべかりし報酬(任務対価部分)は、一七二七万六〇〇〇円である。

840,000×17÷30=476,000 840,000×20=16,800,000

476,000+16,800,000=17,276,000

これに対し、前記認定事実によれば、原告が上記期間に実際に得た報酬は、一六五五万三三三三円である。

800,000×17÷30=453,333

800,000×5+900,000×11+550,000×4=16,100,000

453,333+16,100,000=16,553,333

上記各金額の差額は七二万二六六七円であるが、Bは名目取締役であり、その報酬は実質的には原告に帰属するとも解されるところ、Bの報酬は、平成一九年は年額六〇万円であるが、平成二〇年は二〇〇万円に増額されていることを考慮すると、本件事故後症状固定日までの間に、原告に減収が生じていると認めることはできない。

したがって、本件事故により休業損害が発生したものとは認められない。

(4)  通院慰謝料

前記のとおり、症状固定日は平成二〇年一二月三一日であり、原告の傷害の部位、程度、通院状況、症状の推移等の諸般の事情を考慮すると、通院慰謝料は、二〇五万円をもって相当と認める。

(5)  逸失利益

① 原告は、本件事故当日、a病院で左肩打撲等と診断され(前記第二、一、(2)、①)、c医院通院中、強い左肩の関節痛及び可動域制限が持続していたところ(前記第三、二、(1)、①、ア)、甲四号証、二四号証、原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、平成二〇年一二月三一日当時の原告の自覚症状は、頸肩部痛、左肩関節痛、左肩関節可動域制限等であり、現在も疼痛のため左肩関節の可動域が制限されていることが認められる。

②ア 損害保険料率算出機構は、項頸部痛及び左肩関節痛は、いずれも将来において回復困難と見込まれるが、器質的損傷が認められず、他覚的所見がないことから、別表第二の一四級九号に該当するものとし、併合一四級と判断した(前記第二、一、(3))。上記のとおり原告の左肩の関節痛は一貫した強い症状であるが、MRI検査で異常所見がなく、左上肢に神経学的異常所見がなかったこと(前記第三、二、(1)、①、ア)などに照らすと、上記判断は相当と認められる。

イ 原告は、左肩関節可動域が健側の四分の三以下に制限されているので、別表第二の一二級に該当すると主張する。甲四号証によると、平成二二年一〇月四日時点で、原告の肩関節の可動域角度(他動)は、主要運動についてみると、屈曲が右一八〇度、左一三〇度、外転・内転が右一八〇度、左一一〇度であり、いずれも左は、健側に比し四分の三以下に制限されている。しかし、本件事故による原告の左肩の傷害で確定診断のあったのは左肩打撲のみであり、打撲であれば、通常、早晩治癒するはずである。本件事故直後から一貫して左肩の可動域制限があったことからすると、何らかの器質的原因が疑われるところ、c医院の医師は肩峰下滑液包炎を疑ったが、MRI検査で確認できず、同検査では左肩関節にその他の異常所見もなく(前記第三、二、(1)、①、ア)、結局、器質的原因は確認されていないことからすると、左肩関節の機能障害の残存を認めるのは困難であり、その可動域制限は、疼痛によるものとして上記アの左肩関節の神経症状の一部と捉えるほかない。

③ 左肩関節の疼痛及びそれによる可動域制限の強固さ等も考慮すると、原告は、上記②、アの後遺障害により、症状固定時から八年間に亘り、労働能力の五パーセントを喪失したものと認めるのが相当である。

前記認定の本件事故当時の原告の報酬の任務対価部分の額月額八四万円、年額一〇〇八万円を基礎収入とし、本件事故時における逸失利益の現価(原告は、同事故時五九歳、症状固定時六一歳)を算定すると、二九五万四五九九円となる。

10,080,000×0.05×(7.7217-1.8594)≒2,954,599

(6)  後遺障害慰謝料

後遺障害の内容、程度等を考慮し、一一〇万円をもって相当と認める。

三  素因減額等

(1)  甲二四号証によると、被告は、かつて脳梗塞に罹患したことが認められる。甲一〇号証の九には、脳梗塞の際バイパス手術をしているので、あまり積極的で強力なリハビリはやれない旨の記載があるが、上記バイパス手術がなければできたはずのリハビリの具体的内容及びそのリハビリを行うことによる治療期間短縮効果の有無、これがあるとした場合の具体的短縮期間は不明であるから、上記記載をもって、脳梗塞の既往症により治療期間が長期化したと認めることはできず、他にこれを認めるべき証拠はない。

したがって、既往の脳梗塞又はその際の手術を理由とする減額はしない。

(2)  乙二号証によると、原告は、平成一八年一二月九日、先行事故(追突)に遭ったことが認められる。被告は、原告は、先行事故により、右下肢打撲、頸椎(頚部)捻挫の傷害を負い、同月中に六回(g病院、bクリニック、c医院)、平成一九年一月五回(c医院)、同年二月八回(同)、同年三月三回(同)通院したと主張し、甲一〇号証の一及び原告本人尋問の結果によると、原告は、先行事故により頸部捻挫の傷害を負い、平成一九年三月までに、一〇何回か二〇回位通院したこと、原告の症状は改善していたが、同年三月時点で頸に痛みがあり、本件事故時点でも完治していなかったことが認められ、この認定に反する甲二四号証の記載の一部は、甲一〇号証の一に照らし、採用できない。上記認定事実によると、本件事故後の原告の頸椎由来の症状に先行事故による頸椎捻挫の影響が全くないというのは困難である。先行事故による頸椎捻挫については、本件事故時点での具体的な症状、所見が不明であること、前記認定事実によると、本件事故による原告の傷害のうち、より重いのは左肩関節関係の傷害であると認められること、後遺障害については、左肩関節痛が別表第二の一四級九号に該当し、それのみでも労働能力は五パーセント喪失するものと認められ、項頸部痛に先行事故の影響がなかったとしても、労働能力喪失期間は八年より短縮されないと認められることなどに照らし、治療費及び通院慰謝料の合計二二五万八八一〇円に限って五パーセントの既往症減額をする。上記減額後の金額は二一四万五八六九円であり、これに前記第三、二、(2)、(5)、(6)の各損害額を加算すると、六二〇万八三四三円となる。

四  結論

以上の次第で、原告の本訴請求は、被告に対し、民法七〇九条に基づき、六二〇万八三四三円及びこれに対する不法行為の日である平成一九年四月一三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤明)

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