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京都地方裁判所 平成22年(ワ)4859号 判決

原告

X1〈他2名〉

被告

主文

一  被告は、原告X1に対し、一四七一万〇九六八円及び内一三三八万〇九六八円に対する平成二四年八月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告X2に対し、八八四万三四一八円及び内八〇四万三四一八円に対する平成二二年三月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、原告X3に対し、八八四万三四一八円及び内八〇四万三四一八円に対する平成二二年三月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用はこれを五分し、その四を被告の負担とし、その余は原告らの負担とする。

六  この判決の一項ないし三項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  被告は、原告X1に対し、一九一四万〇一〇四円及び内一七六四万〇一〇四円に対する平成二二年三月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は、原告X2に対し、九五七万〇〇五一円及び内八八二万〇〇五一円に対する平成二二年三月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、原告X3に対し、九五七万〇〇五一円及び内八八二万〇〇五一円に対する平成二二年三月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  仮執行宣言

第二事案の概要

本件は、道路を歩行中のA(以下「A」という。)と自転車を運転中の被告が衝突し、Aが死亡した事故につき、Aの共同相続人である原告らが、被告に対し、民法七〇九条に基づき、Aの損害の賠償を請求する事案である(附帯請求は、弁護士費用を除く損害に対する事故の日の翌日を起算日とする遅延損害金請求)。

一  争いのない事実及び容易に認定できる事実(後記(3)以外は争いがない。)

(1)  事故の発生

次の交通事故が発生した(以下「本件事故」という。)。

① 日時 平成二二年三月二二日午後三時三〇分ころ

② 場所 京都府城陽市久世下大谷六番地の四付近

③ 態様 自転車を運転し、突き当たり路を南東から北西に向けて進行して上記②にある交通整理の行われていない丁字路交差点(以下「本件交差点」という。)を左折しようとした被告と、同交差点南西角付近路上に立っていたA(当時八四歳)が衝突した。

(2)  Aの死亡

Aは、本件事故により脳挫傷等の傷害を負い、平成二二年三月三〇日、医療法人a会b病院(以下「b病院」という。)において、上記傷害のため死亡した。

(3)  相続関係

Aの相続人は、妻の原告X1(以下「原告X1」という。)、Aと原告X1との間の長男原告X2(以下「原告X2」という。)及び長女原告X3(以下「原告X3」という。)であり、他に相続人はいない(甲三)。

(4)  責任原因

被告は、交通整理の行われていない本件交差点を突き当たり路から左折進行するにあたり、同交差点は石垣等のため左右の見通しが悪かったのであるから、最徐行し、直進路からの歩行者等の有無及びその安全を確認しつつ進行すべき注意義務があるのにこれを怠り、直進路の右方に気を取られ、直進路の左方からの歩行者等の有無及び安全確認不十分のまま、時速約七ないし八キロメートルで左折進行した過失により、折から同交差点南西角付近路上に東向きに立っていたAを左前方約二・二メートルの地点に認め、急制動したが及ばず、Aの左肩に自己の左肩を衝突させる本件事故を発生させてAを路上に転倒させた。

二  争点及びこれに関する当事者の主張

(1)  Aの損害

① 原告らの請求

ア 治療費 三万八〇八六円

イ 入院雑費 一万三五〇〇円

一日一五〇〇円で九日分。

ウ 葬祭費 一一九万三七四〇円

エ 文書料(事故証明書、戸籍謄本等) 一万三七五〇円

オ 年金の逸失利益 八八三万一一三〇円

347万9700円×(1-0.5(生活費控除割合))×5.0758(平均余命に対するライプニッツ係数)

カ 入院慰謝料 一九万円

キ 死亡慰謝料 二五〇〇万円

ク 弁護士費用 三〇〇万円

② 被告の認否

原告ら主張の損害は否認する。

(2)  素因減額

① 被告の主張

本件事故当時、網膜色素変性症によりAの視野・視力は極度に悪化しており、そのため、Aは、接触の瞬間まで被告及びその運転する自転車の存在を認識することができず、回避動作や身構えるなどの一切の接触に対する備えをすることもないまま、接触によりバランスを崩して転倒した。直進路の左方からの歩行者等の有無及びその安全確認不十分のまま時速七ないし八キロメートルで左折進行したという被告の過失行為自体は、わずかに接触した歩行者の死亡という結果につながる危険性を一般的に有するものではない。行為自体の危険性と大きな隔たりのある結果が生じたこととの間に介在する要素として、Aの上記疾患の影響があり、本件の結果について生じた損害のすべてを被告に負わせることは公平を失することが明らかである。

したがって、Aの上記疾患による素因減額をすべきである。

② 原告らの主張

Aに網膜色素変性症による視野狭窄があったとしても、Aは、右眼一・〇、左眼〇・二の視力を有し、特に不自由なく日常生活を送っていた。本件事故の際、Aは、衝突地点に立っていただけである。そこに被告が衝突してきたというのが本件事故の態様であり、Aには何の落ち度もない。被告も避けられずにごく短時間のうちに衝突してきたのであるから、Aに避けることを期待するのは到底無理である。Aの網膜色素変性症と本件事故との間には何の因果関係もない。

(3)  過失相殺

① 被告の主張

ア Aは、本件事故当時、網膜色素変性症による視野・視力の低下と下肢運動機能の低下等により、外出時の介助が不可欠な状態にあったにもかかわらず、本件事故の際、介助者を付けずに単独で、原告らの主張によれば杖もつかずに外出したのは、Aの過失であり、その程度は重大である。

イ Aは、本件事故の四か月余り前の時点で目の前の物ですら認識困難という重篤な視野欠損・視力喪失に陥っており、同事故当時、道路交通法(以下「道交法」という。)一四条一項にいう「目が見えない者に準ずる者」に該当することが明らかであり、Aが視覚障害者用の杖を所持していなかったのは、同項に違反する過失である。

ウ 本件事故当時、Aは、路側帯をはみ出して通行していたが、完全に路側帯の内側を通行していれば、同事故は発生しなかった可能性が高い。Aの上記はみ出しは、本件事故における結果の発生についての被害者の過失として考慮されるべきである。

エ Aの同居家族は、Aの上記のような身体的状況及び外出時の介助の不可欠性を十分に認識していたはずであるから、Aの外出時には、自ら介助し、あるいは適切な介助者を同伴させるなどしてAが単独で外出することのないよう注意を払うべき義務を負っていたが、本件事故の際、上記注意義務に違反した。同居家族の上記過失は、被害者側の過失として考慮すべきである。

② 原告らの主張

ア Aは、本件事故当時、年齢相応の運動能力を有し、独歩可能で、毎日のように一人で近所を散歩するのが習慣であり、その散歩で事故に遭遇することはなかった。独歩可能な被害者に一人で散歩をするなという被告の主張は暴論であり、安全確認を怠って立っていただけのAに衝突した被告の責任転嫁も甚だしい。

イ Aは、右眼一・〇、左眼〇・二の視力を有していたから、道交法一四条一項にいう「目が見えない者に準ずる者」に当たらない。

ウ Aが、本件事故当時、路側帯からはみ出していたとの点については客観的証拠がない。仮に、外側線を跨いでいたとしても、溝蓋と外測線との隙間が狭くなっているところで、心理的な溝蓋を避けて外測線寄りに歩行することは自然な行動であり、過失には当たらない。

第三当裁判所の判断

一  被告の責任原因

前記第二、一、(1)、(4)の事実によれば、被告は、民法七〇九条に基づき、本件事故によりAが被った損害の賠償義務を負う。

二  Aの損害(弁護士費用を除く。)

(1)  治療費

前記第二、一、(2)の事実、甲五号証の四、六号証、一二号証によれば、Aは、本件事故直後、b病院に救急搬送されてそのまま同院に入院し、平成二二年三月三〇日の死亡時まで治療を受けたこと、その治療費は計三万八〇八六円であることが認められる。

(2)  入院雑費

b病院における本件事故当日平成二二年三月二二日から同月三〇日までの九日間の入院につき、一日一五〇〇円、計一万三五〇〇円の入院雑費の発生を認める。

(3)  葬祭費

甲七号証の一ないし五によれば、Aの葬祭費として計八四万三七四〇円を要したことが認められ、さらに、原告X2本人尋問の結果によれば、上記に含まれない費用として、僧侶に対する布施等が支出されたことが認められるが、その金額を明らかにする客観的証拠はない。

以上より、被告の不法行為と相当因果関係のある葬祭費を一〇四万三七四〇円と認める。

(4)  文書料(事故証明書、戸籍謄本等)

甲八号証の一ないし七及び弁論の全趣旨によれば、Aの相続手続及び被告に対する損害賠償請求等のため、戸籍謄本、印鑑証明書、住民票、交通事故証明書等の取得費用として、計一万三七二〇円を要したことが認められる。

(5)  年金逸失利益

甲三号証、九号証、一二号証によれば、Aは、大正一四年○月○日生まれ(死亡当時八四歳)で、本件事故当時、原告X1及び原告X2の家族と同居していたが、同X2の家族とは家計を別にしていたこと、Aは、同事故当時、年額三四七万九七〇〇円の年金を受給していたことが認められる。

死亡時点の平均余命六年(平成二二年簡易生命表六・六〇年)につき、上記認定事実に基づき生活費控除割合を六〇パーセントと認め、年金の逸失利益の現価を計算すると、七〇六万四六二六円となる(一円未満切り捨て)。

3,479,700×(1-0.6)×5.0756≒7,064,626

(6)  慰謝料

本件事故による入院及び死亡によってAが被った精神的苦痛に対する慰謝料は二四〇〇万円をもって相当と認める。

(7)  合計

上記(1)ないし(6)の合計は、三二一七万三六七二円である。

三  素因減額

(1)  前記第二、一、(1)、(4)の事実、甲五号証の五・六、一〇号証の一ないし四、乙一ないし四号証、一〇号証の一・二、一三号証、被告本人尋問の結果、調査嘱託の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

① 本件交差点付近の状況は、別紙「交通事故現場見取図」記載のとおりである。本件交差点付近は市街地であり、突き当たり路は南東から北西に一〇〇分の八度の下り勾配となっており、直進路及び突き当たり路ともアスファルト舗装されている。本件交差点の南角には石垣及び植込み等があり、突き当たり路から同交差点左方、直進路南西側から同交差点右方の見通しは悪い。交通量は、人車とも少ない。

② 本件事故当時、天候は晴れで、路面は乾燥していた。被告は、ロードレーサータイプの自転車を運転し、突き当たり路を南東から本件交差点に向かって下り、本件交差点手前で速度を時速七ないし八キロメートルまで減速し、別紙「交通事故現場見取図」②地点付近(以下、単に符号をもって表記する地点は、同別紙記載の対応地点である。)から、同交差点で左折するためハンドルを左に切りながら、右方からの車両の有無を確認しようとして右方を向き、③地点に至って前方に視線を戻したところ、〈×〉点付近に東向きに立っていたAを発見し、危険を感じて強くブレーキを握るとともに右に進路を変えようとしたが間に合わず、④地点付近まで進行したとき、被告の左肩が〈×〉地点付近に立つAの左肩に衝突し、その衝撃で、Aはその場で尻餅をついた後、上半身が後方に倒れ路面に後頭部を打ち付けた。被告の運転する自転車は、転倒することなく⑤地点付近に停止した。Aは、当時、単独での散歩中であった。

被告は、本件事故後、勤務先に提出した報告書に、同事故の原因は十分な減速ができていなかったことと記載した。

②地点から③地点までの距離は三・七メートル、③地点から④地点までの距離は二メートル、③地点から〈×〉地点までの距離は二・二メートルである。②地点から〈P〉地点(距離六・八メートル)が見通せる。

③ Aは、昭和五五年ころ、両眼の網膜色素変性症に罹患し、以後、視力の低下及び視野狭窄を来した。網膜色素変性症は、遺伝性、進行性の網膜の疾患で、視野狭窄、視力低下等の症状が発生するが、進行の速さには個人差がある。

Aは、平成一三年二月一六日、視覚障害一種二級の障害者手帳の交付を受け、平成二一年一二月二日、要介護二の認定を受けた(ただし、その後介護サービスの利用はない。)。

Aの眼鏡着用下の矯正視力は、右眼一、〇、左眼〇・二であり、平成一二年一二月当時の視野喪失率は、右眼九六パーセント、左眼九八パーセント、両眼九六・五パーセントであった。Aは、本件事故の際、眼鏡をかけていた。

④ 被告の自宅は本件交差点から三〇〇ないし四〇〇メートル離れており、Aの自宅は被告の自宅の五軒隣である。

(2)  上記認定事実によれば、本件事故当時、網膜色素変性症のためAの両眼の視野狭窄の程度は重かったものと認められる。しかし、上記疾患に罹患していなければ、Aが本件事故を回避できたものと認めるには証拠が十分ではない。すなわち、上記認定事実によれば、本件事故当時、Aに視野狭窄、視力障害等がなく、Aが、同事故のしばらく前から〈×〉地点付近に立ったまま静止し、東方(突き当たり路)を注視していたと仮定すれば、Aは、被告が②地点付近に到達した時点で被告を発見することができたと考えられる。しかし、被告が②地点から③地点を経てAと衝突する④地点に至るまでの距離は五・七メートルであり、被告の運転する自転車の速度を時速八キロメートル(秒速二・二二二メートル)とすると、上記区間を走行するのに要する時間は、約二・五六秒である(反応時間を考えると、③地点で強くブレーキを握って(正確には握ろうと決めても)、それによる制動効果がほとんど発生しないうちに衝突したものと推測される。)。Aは、本件事故当時八四歳であり、年齢相応に身体能力等が低下し、反応時間も一般成人の〇・八秒前後より相当遅くなっていたと考えられるところ、仮に②地点の被告を発見したとしても、約二秒半の間に、咄嗟に体をかわすなどの適切な事故回避措置を採れたかは極めて疑問である。なお、被告の運転する自転車の速度は時速七ないし八キロメートルであるが、事故の回避可能性を検討する上では、速い方の時速八キロメートルを基準にすべきである。上記の点からして、Aの網膜色素変性症と本件事故の発生との間の因果関係の証明があるとはいえない。

したがって、被告の主張する素因減額はしない。

四  過失相殺

(1)  乙一五号証には、平成二一年一一月一七日時点において、Aは、屋外歩行は介助があればしている、外出は妻の介助がなければできないとの記載があるが、一週間に二、三回の決まったコースの散歩にも妻の介助があるのかどうかは同号証の記載からは定かでなく、原告X2本人尋問の結果によると、定例の散歩は一人で行うこともあったことが認められ、これによると、少なくとも、決まったコースの散歩について、介助が不可欠であったとまでは認められない。なお、乙一四号証には、単独で散歩中に迷子になり、以後自宅に閉じ籠もりがちになったとする部分がある。しかし、同号証には、Aの視力に関し、色と何かが動いている程度しか見えていないとの記載もあるが、そうであれば、本件事故当日、Aが自宅から三〇〇メートル前後は離れた本件交差点付近まで単独で歩行し得たとは考えられず、乙一四号証には多分に誇張が含まれていると見ざるを得ないから、その信用性は低い。他に、本件事故当時、Aが、客観的に、近所の散歩にも介助が不可欠であったことを認めるに足りる証拠はない。

したがって、本件事故の際、Aが単独で外出したこと又は同居家族がAを単独で外出させたことを、A又は被害者側の過失又は落ち度として過失相殺することはしない。

また、被告は、Aが杖も持たずに外出したことがAの過失であるとも主張するが、杖を持っていれば、本件事故の発生又は損害の拡大を防止できたことを認めるに足りる証拠はない。

(2)  被告は、Aが道路交通法施行令八条一項所定の白色又は黄色の杖を携えていなかったことが過失である旨主張するが、Aが上記杖を携えていれば被告が③地点に至る前にAを発見し得たことを認めるべき証拠はない。かえって、被告は、②地点付近から右方を見ていたのであるから、Aが上記杖を携えていたところで発見時期が早まったとは考えられない。

したがって、Aが上記杖を携えていなかったことと本件事故の発生との間の因果関係を肯定することはできない。

(3)  被告は、本件事故当時、Aが路側帯から車道にはみ出していたことが過失である旨主張するが、乙一号証によれば、被告の指示説明によっても、Aは、車道と路側帯との間の白線を跨いでいたに過ぎず、交差点進入時の交差道路の安全確認という自転車運転者にとって極めて基本的な注意義務を怠った被告の過失と対比し、過失相殺しなければ公平を失するとは到底いえない。

(4)  以上により、被告の過失相殺に関する主張はいずれも採用できない。

五  相続

(1)  原告X1は、Aの被告に対する三二一七万三六七二円の損害賠償請求権の二分の一に相当する一六〇八万六八三六円を相続した。

(2)  原告X2及び同X3は、それぞれAの被告に対する三二一七万三六七二円の損害賠償請求権の四分の一に相当する八〇四万三四一八円を相続した。

六  損益相殺(原告X1)

(1)  甲一一号証及び弁論の全趣旨によると、原告X1は、Aの死亡に伴い、次のとおり遺族厚生年金を受給したことが認められる。

平成二二年四月から平成二三年三月まで計一九二万五九〇〇円

平成二三年六月、同年八月及び同年一〇月各三一万九六五〇円

平成二三年一二月一五日、平成二四年二月一五日及び同年四月一三日各三一万九六五〇円

平成二四年六月一五日、平成二四年八月一五日各三一万八六八三円

(2)  平成二二年四月ないし平成二三年三月については、具体的支給状況が不明であるが、平成二二年四月一五日、同年六月一五日、同年八月一三日、同年一〇月一五日、同年一二月一五日、平成二三年二月一五日に、それぞれ一九二万五九〇〇円を六で除した三二万〇九八三円(ただし、平成二三年二月一五日は三二万〇九八五円)を受給したものと推定し、また、同年六月、八月及び一〇月の各支給日は、六月一五日、八月一五日、一〇月一四日として、上記(1)の支給各年金を原告X1の相続した損害賠償請求権の遅延損害金、元本の順で充当すると、別紙「既払金充当計算書」のとおりとなり、平成二四年八月一五日時点の残元金は一三三八万〇九六八円である。

七  弁護士費用

事案の内容、訴訟経過及び認容額等を総合し、原告X1の相続分に係る相当な弁護士費用は一三三万円、同X2及び同X3の各相続分に係る相当な弁護士費用はいずれも八〇万円と認める。

八  結論

以上の次第で、原告らの本訴請求は、被告に対し、民法七〇九条に基づき、原告X1については一四七一万〇九六八円及び内一三三八万〇九六八円に対する最後の年金支給日の翌日である平成二四年八月一六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、原告X2及び同X3についてはいずれも八八四万三四一八円及び内八〇四万三四一八円に対する不法行為の日の翌日である平成二二年三月二三日から支払済みまで前同様の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤明)

別紙 交通事故現場見取図

〈省略〉

別紙 既払金充当計算書

年月日

損害額

弁済額

利率

日数

遅延損害金

未払損害金

残元金

1

H22.3.22

16,086,836

0.05

16,086,836

2

H22.4.15

320,983

0.05

25

55,091

0

15,820,944

3

H22.6.15

320,983

0.05

61

132,202

0

15,632,163

4

H22.8.13

320,983

0.05

59

126,342

0

15,437,522

5

H22.10.15

320,983

0.05

63

133,227

0

15,249,766

6

H22.12.15

320,983

0.05

61

127,429

0

15,056,212

7

H23.2.15

320,985

0.05

62

127,874

0

14,863,101

8

H23.6.15

319,650

0.05

120

244,324

0

14,787,775

9

H23.8.15

319,650

0.05

61

123,569

0

14,591,694

10

H23.10.14

319,650

0.05

60

119,931

0

14,391,975

11

H23.12.15

319,650

0.05

62

122,233

0

14,194,558

12

H24.2.15

319,650

0.05

62

120,312

0

13,995,220

13

H24.4.13

319,650

0.05

58

110,891

0

13,786,461

14

H24.6.15

318,683

0.05

63

118,653

0

13,586,431

15

H24.8.15

318,683

0.05

61

113,220

0

13,380,968

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