大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 平成12年(行ウ)36号 判決

原告

有限会社A

原告代表者取締役

原告訴訟代理人弁護士

関戸一考

田中宏幸

被告

下京税務署長(東成税務署長事務承継者) 礒野与志嗣

被告指定代理人

小島清二

山口宏明

主文

1  原告の本件訴えのうち、東成税務署長が原告に対し平成10年7月31日付でした平成7年8月1日から平成8年7月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額251万6894円を超えない部分の取消しを求める部分を却下する。

2  原告の本件訴えのうち、東成税務署長が原告に対し平成10年7月31日付でした平成8年8月1日から平成9年7月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち納付すべき税額168万3100円を超えない部分の取消しを求める部分を却下する。

3  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

4  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  東成税務署長が、原告に対し、平成10年7月28日付でした平成8年8月1日から平成9年7月31日までの事業年度(以下「平成9年7月期」といい、他の事業年度においても同様に表示する。)以後の法人税の青色申告の承認の取消処分を取り消す。

二  東成税務署長が、原告に対し、平成10年7月31日付でした平成8年7月期の事業年度の法人税の更正処分並びにこれに係る過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

三  東成税務署長が、原告に対し、平成10年7月31日付でした平成9年7月期の事業年度(以下、平成8年7月期と合わせて「本件各事業年度」という。)の法人税の更正処分及びこれに係る過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

四  東成税務署長が、原告に対し、平成10年7月31日付でした平成8年8月1日から平成9年7月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税及び地方消費税の更正処分及びこれに係る過少申告加算税の賦課決定を取り消す。

第二事案の概要

本件は、原告が、それぞれ、本件各事業年度の法人税、並びに本件課税期間の消費税及び地方消費税について、確定申告をしたところ、東成税務署長が、青色申告承認取消処分(以下「本件取消処分」という。)を行った上、推計により、原告の本件各事業年度の所得金額及び本件課税期間の消費税・地方消費税の課税標準額を算定し、これらに基づいて、それぞれ、別表1ないし3のとおり、法人税及び消費税・地方消費税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定(以下、これらの各処分を「本件各処分」という。)を行ったことに対し、原告が、本件取消処分は、取消事由がないのにされた違法なもので、本件各処分は、推計の合理性を欠き、原告の本件各事業年度の所得金額や本件課税期間の消費税・地方消費税の課税標準額を過大に認定したものであり、いずれも違法な処分であると主張して、東成税務署長の事務を承継した被告に対し、本件取消処分及び本件各処分の取消を求めた抗告訴訟である。

一  争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実は、以下のとおりである。

1(1)  原告(京都市下京区所在)は、京都市下京区内においてB(以下「本件店舗」という。)の屋号で、ファッションマッサージ業(風俗営業等の現制及び業務の適正化等に関する法律2条6項)を営む有限会社である。

(2)  原告は、乙が実質的な代表を務める有限会社C、有限会社D及び有限会社E(以下「原告関連会社」という。)と同種同業の事業を行っている。それらの設立年月日、本店所在地、店舗名は、別表4のとおりである。

(3)  原告及び原告関連会社の経理は、乙の弟である丙が役員を兼務する株式会社Fがこれを行っている。

2  原告は、平成8年9月30日付で、大阪市内の東成税務署長に対し、別表1の「確定申告」欄のとおり、平成8年7月期の法人税について白色の確定申告をした。また、原告は、平成9年9月30日付で、東成税務署長に対し、別表2の「確定申告」欄のとおり、平成9年7月期の法人税について青色の確定申告をし、また、同日付で、別表3の「確定申告」欄のとおり、本件課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告をした。

3  東成税務署長は、平成10年4月ころ、原告やその関連会社について税務調査を行い、本件店舗の店長が所持していたノートと表(乙1の1ないし3及び乙2、以下、「丁ノート」及び「丁ノート表」といい、合わせて「丁ノート等」という。)や売上日報等を入手し、これに基づいて、原告に対し、平成10年7月28日付で平成9年7月期以後の法人税に係る青色申告承認を取り消す旨の本件取消処分をし、同月31日付で本件各事業年度の法人税につき別表1及び2の「更正処分等」欄のとおり各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定をし、本件課税期間の消費税及び地方消費税につき、別表3の「更正処分等」欄のとおり、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定をした。

4  そこで、原告は、平成10年9月9日付で、東成税務署長に対し、本件取消処分及び本件各処分につき、異議申立をしたところ、東成税務署長は、同年12月8日付で、これらをいずれも棄却する旨の決定をした。

5  原告は、平成11年1月6日付で、国税不服審判所長に対し、審査請求をしたところ、同所長は、平成12年5月9日付で、これらをいずれも棄却する旨の裁決をし、これらの裁決書謄本は、同月17日ころ、原告に送達された。

6  原告は、前記の各裁決の結果を不服とし、平成12年8月4日付で、本件取消処分及び本件各処分の取消を求めて本件訴訟を提起した。

二  争点

本件各処分の適法性(本件各事業年度の原告の所得額)、具体的には、特に丁ノート等の金額と収集された売上日報との関係、平成9年7月期の「損金」計上漏れ額及び漏れ割合、同割合から平成8年7月期の「損金」計上漏額を推計することの相当性、本件取消処分の適法性。

三  争点に対する当事者の主張

(被告の主張)

1 丁ノート等の信ぴょう性

(1) 原告の経営する本件店舗の平成10年4月1日当時の店長であった丁(以下「丁」という。)が所持していた丁ノート(乙1)には、本件店舗に関し、日付順に、幹部ミーティングの内容等日々の出来事、マッサージ嬢の採用面接や健康管理、従業員に対する接客指導の内容、売上を伸ばす方策、店長会議での討議事項及び同会議での本件店舗の成績発表や表彰等について詳細に記載されている。また、本件店舗について、平成8年8月から平成9年1月までは月額で、平成9年2月1日から平成10年3月31日までは平成9年2月の6日分を除く各営業日毎に一覧表で、営業日、客数、売上金額の一部(後記のいわゆる損金額)、マッサージ嬢への各種手当等、割引額、割引人数が記載されている。丁ノートに記載された上記の各数値は、本件店舗で収集された本件店舗及び関連店舗の平成10年2月度来店者一覧表(乙6)の「利用者数」の数値、本件店舗の平成10年3月30日及び同月31日の売上日報(乙5の1、2)の「小計」欄の数値、売上集計表(乙4の2)のうち本件店舗に係る平成9年12月1日から同月28日まで、平成10年2月1日から同月28日まで及び同年3月1日から同月25日までの各営業日毎の「客数」等の数値、Gで収集された平成10年2月16日から同年3月30日までの各営業日毎に作成される売上表(乙7)のうち本件店舗に係る「総売上数」等の数値と一致する。

(2) また、丁ノートに挟まれていた丁ノート表に記載された金額は、売上集計表に記載された本件店舗の平成10年2月度の売上金額の数値と一致し、丁ノートの各月に記載する売上金額の一部(後記のいわゆる損金)の数値とほぼ一致する。

(3) このように、丁ノート及び丁ノート表に記載された金額は、本件店舗の真実の売上金額に関する証拠として信ぴょう性がある。

2 丁ノート等に記載されたいわゆる損金の意味

(1) 丁ノート等に記載されたいわゆる損金は、本件店舗における客から受け取った売上金額から、マッサージ嬢への報酬や各種手当を控除した金額であり、それには、タオルの売上金額は含まれない。

(2) 原告の経営する本件店舗で本件各事業年度において作成されていた売上日報は、税務調査によって本件店舗から収集された平成10年3月31日の売上日報(乙5の2)と同様の様式(以下「乙5様式」という。)によるものであったから、丁ノート等もこのような様式による売上日報に基づいて記載されたものである。原告は、本件各事業年度の売上日報は、甲5の別紙で添付された用紙の様式(以下「原告主張様式」という。)であったもので、それによれば、「売上計」の金額は「割引(券)」及び「手当(・アップ)」の全額が控除されておらず、また、タオル代が加算されていると主張し、原告の関連会社の店舗の売上日報として、甲8の1ないし11の2を提出する。しかし、本件訴訟においてこれらの証拠が提出されるまでの経緯からすれば、かかる証拠は、本件店舗の本件各事業年度の売上日報が乙5様式と異なったものであったとの事実を証明するには至らない。また、丁の陳述書等(甲5、6)には、平成9年12月31日以前は、売上日報は原告主張の様式であった旨の記載があるが、丁ノートにはその旨の記載がないことからしても、この部分を採用することはできない。

3 平成9年7月期における法人税額

(1) 所得金額は、別表9の「被告主張額」の「所得金額(〈1〉+〈4〉)」欄のとおり、8715万9407円である。

ア 申告欠損金額は、別表2の「確定申告」の「所得金額」欄のとおり、3227万3503円である。

イ 損金計上漏額は、別表6の「E」欄のとおり、1億3084万9229円である。

(ア) 丁ノートに記載された平成8年8月から平成9年7月までに係る本件店舗の損金額は、別表5の「丁ノート等の損金合計額〈1〉」の「合計」欄のとおり、合計3億2019万2600円である。

(イ) 原告が平成9年7月期の総勘定元帳(甲3)に記載した数値から算出される損金額は、別表5の「小計〈6〉」の「合計」欄のとおり、1億8456万7071円である。

(ウ) 丁ノートと総勘定元帳との損金差額(以下「損金差額」という。)は、3億2019万2600円から総勘定元帳を集計した1億8456万7071円を差し引いた1億3562万5529円である(別表5の「被告主張損金計上漏額〈7〉」の「合計」欄)。

(エ) 上記の損金差額は消費税込みの金額であり、消費税抜きの金額は、別表6の「D」欄のとおり、1億3081万7778円である。すなわち、消費税等の税率は、平成9年3月31日以前の課税資産の譲渡等については100分の3、平成9年4月1日以降については100分の5(消費税率100分の4と地方消費税率100分の1〔消費税額の100分の25〕の合計)であるところ(消費税法29条、地方税法72条83、消費税法平成6年法律第109号改正附則7条)、平成8年8月から平成9年3月までの損金差額8925万6629円については103分の100、平成9年4月ないし同年7月までの損金差額4636万8900円については105分の100を乗じ、それぞれ、8665万6921円、4416万0857円となり、合計1億3081万7778円となる。

(オ) 原告の総勘定元帳を集計した売上金額1億9477万0914円(別表6「A」欄)と確定申告書に添付された損益計算書に記載のある売上金額1億9473万9463円(別表6「B」欄)に3万1451円の開差があったため、損金計上漏額は、上記の1億3081万7778円に3万1451円を加えた1億3084万9229円となる(別表6「E」欄)。

ウ 原告の総勘定元帳は、マッサージ嬢への報酬相当額について、益金にも損金にも計上しないが、マッサージ嬢への報酬相当額は、原告の収益として益金となり、以下のとおり、その額は、3億3518万4766円である。

(ア) 原告が客から受け取る料金及びマッサージ嬢への報酬は、別表8のとおりであり、総売上高に占めるマッサージ嬢への報酬の割合は約50パーセントである。

(イ) 総勘定元帳を集計した売上金額は、別表5の「売上げ〈2〉」の「合計」欄のとおり、2億1188万9031円であり、同金額に対応するマッサージ嬢への報酬額は、上記のとおり、等倍であって、2億1188万9031円となる。そして、益金に算入すべき金額は消費税抜きの金額となるので、前記イ(エ)と同様の計算方法により、それは、2億0433万5537円となる。また、損金計上漏額に対応するマッサージ嬢への報酬額も、等倍であって、1億3084万9229円であるから、結局、益金に算入すべきマッサージ嬢への報酬相当額は、上記金額の合計額である3億3518万4766円となる。

エ マッサージ嬢への報酬は、原告の人件費として損金となるが、それには消費税が課されない。よって、損金に算入すべきマッサージ嬢への報酬相当額は、消費税等を控除する前の金額となり、前記イ(ウ)の金額とイ(オ)の3万1451円とウ(イ)の2億1188万9031円の合計額である3億4754万6011円となる。

オ 更に、雑収入としてのタオル売上計上漏額は、以下のとおり、1688万9926円となる。

(ア) 原告は、本件店舗において、マッサージ嬢からタオル売上げとして1日当たり2500円を徴している。平成8年8月1日から同年11月28日までの期間の総勘定元帳にはその記載があるものの、その余の部分については計上漏れとなっており、推計によって算定せざるを得ない。

(イ) 総勘定元帳で判明している平成8年8月1日から同年11月28日までのタオル売上げ合計額577万2000円と、当該合計額を上記期間の営業日数120日で除して求めた1日当たりの平均タオル売上げの額4万8100円に、平成9年7月期の残りの営業日数を乗じた金額1173万6400円とを合計すると1750万8400円となり、これを消費税抜きで計算すると、1688万9926円となる。

カ 平成8年7月期の所得金額は、後記のように、更正処分のとおりに増加することに伴い、同事業年度に係る未納事業税1594万5000円は、平成9年7月期の損金となる。

キ 以上より、平成9年7月期の所得金額は、別表9の「被告主張額」の「所得金額(〈1〉+〈4〉)」欄のとおり、8715万9407円となる。

(2) 平成9年7月期に納付すべき法人税額

前記の所得金額に対する法人税額は、3192万4600円となり、更正処分による納付すべき法人税額3189万0500円を上回る。

4 平成8年7月期における法人税額

(1) 所得金額は、別表10の「被告主張額」の「所得金額(〈1〉+〈4〉)」欄のとおり、1億3057万3487円である。

ア 申告所得金額は、別表1の「確定申告」の「所得金額」欄のとおり、251万6894円である。

イ 損金計上漏額は、別表7の「J」欄のとおり、1億1055万1193円である。

(ア) 平成9年7月期の損金計上漏額の消費税込みの金額は、前記のとおり、1億3562万5529円である(別表5)。なお、原告は、平成8年7月期における消費税については免税事業者であるので、損金計上漏額は消費税込みの金額になる。

平成9年7月期の総勘定元帳に計上された売上金額は、2億1188万9031円から、売上値引き992万6800円のみを差し引いた2億0196万2231円である(別表5の総勘定元帳の売上げから売上値引きを控除した合計額の筒所参照、別表7「F」欄)。

そうすると、平成9年7月期の損金計上漏れ割合は、別表7の「H」欄のとおり、67.15パーセントとなる。

(イ) 原告は、平成8年7月期における売上日報等の売上に関する記録及び確定申告の根拠となった総勘定元帳を破棄し、あるいは見当たらないとして提示していない。

そこで、平成8年7月期の損金計上漏額は、平成8年7月期の更正処分前の売上金額から売上値引き額を差し引いた額(原告の平成8年7月期損益計算書の「売上高」の額)1億6463万3200円に前記の平成9年7月期の損金計上漏れ割合である67.15パーセントを乗じて推計した1億1055万1193円となる(別表7の「J」欄)。

ウ 益金に算入すべきマッサージ嬢への報酬相当額は、以下のとおり、合計2億7518万4393円である。

(ア) 原告の確定申告に係る売上高の金額(総勘定元帳に計上されていた売上げから値引きを控除した金額、平成8年7月期の損益計算書の「売上額」)は、1億6463万3200円であり、これに対応するマッサージ嬢への報酬額は、前記のとおり等倍であるとして、1億6463万3200円となる。

(イ) 損金計上漏額は、1億1055万1193円であり、これに対応するマッサージ嬢への報酬額は、前記のとおり等倍であるとして、1億1055万1193円となる。

エ 損金に算入すべきマッサージ嬢への報酬相当額は、2億7518万4393円となる。

オ タオル売上げ計上漏れ額は、前記のとおり、総勘定元帳等の資料がないから、平成9年7月期の本件店舗における1日当たりの平均タオル売上金額である前記の4万8100円に平成8年度7月期の営業日数364日を乗じて推計した1750万8400円となる。

カ 以上より、平成8年7月期の所得金額は、別表10の「被告主張額」の「所得金額(〈1〉+〈4〉)」欄のとおり、1億3057万3487円となる。

(2) 平成8年7月期に納付すべき法人税額

前記の所得金額に対する法人税額は、4820万6000円となり、更正処分による納付すべき法人税額4812万9100円を上回る。

5 本件課税期間における消費税額及び地方消費税額

(1) 消費税額

平成9年7月期の法人税の益金の額に加算すべき金額は、別表9の「〈2〉小計」欄のとおり、4億8292万3921円である。この金額に消費税法上の非課税又は免税となる売上は含まれていない。そうすると、本件課税期間の課税売上高は、別表11の「被告主張額」欄の計算のとおりで、合計6億8734万0414円となる。そして、課税標準額に対する消費税額は、別表12のとおりであり、仕入税額控除の額及び返還等対価にかかる税額は、別表12のとおり、いずれも原告主張と争いがないから、納付すべき消費税額は、別表12のとおり、1776万1500円となる(別表12「〈16〉」欄)。

(2) 地方消費税額は、別表12の「〈17〉」欄、「〈18〉」欄のとおり、167万0300円となる。

(3) よって、本件課税期間に納付すべき消費税額及び地方消費税額は、1943万1800円となる(別表12「〈19〉」欄)。

6 東成税務署長は、平成9年7月期に係る原告の備え付ける帳簿書類の記載事項全体について、その真実性を疑うに足りる相当の理由があるとして、平成10年7月28日付で、本件青色申告取消処分を行い、原告に対し、法人税法127条1項3号に該当する事由があることを付記した書面により、その旨を通知した。

7 後記の原告の主張3は争う。原告の営むファッションマッサージ業は、甲19に記載する「洗濯・理容・浴場業」及び「専門サービス業(他に分類されないもの)」のいずれにも分類されず、原告のこの点に関する主張は失当である。

また、原告が主張する暴力団対策費については、かかる経費が存在したことを裏付ける客観的な証拠はないし、仮にかかる経費が存在したとしても、そもそも、原告の総勘定元帳に計上しなかった売上から支払われたものであるといえ、このような簿外の売上の中から簿外経費を支払ったとしても、損金計上漏れ割合には何ら影響するものではない。さらに、かかる経費は、法人税上損金として計上されることもない。

8 なお、原告は、平成9年4月における売上値引金額は85万2600円であり、かかる金額を82万9500円とした被告の集計は誤りであると主張するが、被告は、総勘定元帳中の「売上値引」勘定に記載されている「残業 2000」円及び「特別手当 21000」円について、原告に有利になるように売上値引きから除外したものである。

(原告の主張)

1 丁ノート等に記載された数値が正確であることについては争わない。

2 しかし、丁ノート等の平成9年12月31日以前の分については、乙5様式の売上日報に基づいて作成されたものではない。

(1) 原告の経営する本件店舗においては、平成10年1月2日以降、乙5様式の売上日報が使用されるようになったが、平成9年12月31日までは、それとは別の原告主張様式の売上日報が使用されていた。丁ノートに記載された平成9年12月31日までの数値は、原告主張様式の売上日報に基づく数値である。

(2) 原告主張様式の売上日報の「売上計」の金額は、「割引(券)」及び「手当(・アップ)」の金額が控除されずに記載されており、そうすると、丁ノート等に記載された金額も、平成9年12月31日以前においては、「割引(券)」及び「手当(・アップ)」の各金額が控除される前の金額が記載されている。また、原告主張様式の売上日報においては、「売上計」には「タオル代」が加算されている。

(3) 原告は、本件訴訟になってはじめて丁ノート等の内容及び乙5様式の売上日報の存在を知った。関連会社の店舗に係る甲8の1ないし11の2の売上日報は、その後、原告が必死になって捜した結果、発見することができた売上日報で、原告主張様式のものである。丁ノートに乙5様式に変更することについて一切記載がないのは、かかる事項が店長会議や幹部ミーティングの議題事項ではなかったからである。平成9年12月31日以前において、本件店舗で、原告主張様式の売上日報が使用されていたことは間違いない。

3 また、損金計上漏れ割合が被告の主張するような高い割合(平成9年7月期について67.15パーセント)であるとすれば、正規の売上金額のかなりの割合(約30パーセント)の金額が漏れていたということになり、経常利益が原告のようなサービス業種は多くとも数パーセントというのが常識であることからすれば(甲19、「洗濯・理容・浴場業」及び「専門サービス業(他に分類されないもの)」の数値)、それでも経営が成り立つということは極めて異常なことであるといわねばならない。原告のような事業は、暴力団対策費のような、本来経費として領収書をもらえない支出もあるところ、漏れ率が30パーセント以上となるとそもそも経営が成り立たなくなる。このような損金計上漏れ割合に基づく被告の推計は不合理である。

4 よって、丁ノート等の平成9年12月31日までの被告が主張する損金額とされる金額は、「割引券」(売上値引き)、「手当・アップ」(特別手当等)及び「交通費」の各金額が控除される前の金額であり、かつ、「タオル代」(タオル売上げ)が含まれている金額である。丁ノート等の金額がこのような性質のものであることを前提として、平成9年7月期の損金計上漏額を算定すべきである。

5 平成9年7月期における所得金額は、別表9の「原告主張額」のとおりであり、その所得金額は、4993万8528円である。

6 平成8年7月期における所得金額は、別表10、別表7の各「原告主張額」のとおりであり、9080万1468円である。

7 本件課税期間における消費税額及び地方消費税額は、別表11、別表12のとおり、1683万9700円となる。

第三当裁判所の判断

一  原告は、本件各事業年度における原告の所得金額、本件課税期間における課税売上をそれぞれ算定するに際し、丁ノート等の数値が真実の売上額の一部を示すものであること、その数値を基にして、基本的には被告主張の推計方法によって上記所得金額及び課税売上を認定せざるを得ないこと、以上は争っていない。原告は、被告の主張に対し、丁ノート等に記載された数値が、乙5様式の売上日報を前提として記載された数値ではなく、原告主張様式の売上日報を前提として記載された数値であること、また、被告が算定した損金計上漏れ割合は異常な数値である旨を主張する。

二  原告の平成9年7月期の総勘定元帳及び丁ノート等以外に、本件各事業年度の売上や経費に関する帳簿書類等の記録は、本件においても、提出されていない。また、後記の認定事実によれば、丁ノート等の数値は、本件店舗の真実の売上金額(一部)を示すものであると認められ、結局、本件各事業年度分の所得は、この数値を基に認定せざるを得ないと考えられる。

三  そこで、被告が主張するように、本件各事業年度において、本件店舗で乙5様式の売上日報が使用されており、丁ノート等の数値がそれに基づいて記載されていたか否かを検討する。

甲1ないし22(枝番を含む。)、乙1ないし12(枝番を含む。)、証人乙の証言(以下「本件各証拠」という。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

1  東成税務署長は、平成10年4月ころ、原告及び原告関連会社がした法人税及び消費税及び地方消費税の確定申告が適正なものであるか否かを確認するため、東山税務署長(有限会社D及び有限会社Cについて)及び神戸税務署長(有限会社Eについて)と連携して、原告及び原告関連会社に対して税務調査を実施することとした。

2  大阪国税局の調査担当の職員の戊(以下「戊」という。)とH国税実査官は、平成10年4月1日午前9時30分ころ、有限会社Cが経営するGの店舗に臨場した。

また、同時刻ころ、同じく大阪国税局の調査担当の職員のI(以下「I」という。)とJ国税実査官は、本件店舗に臨場した。

3  Gに臨場した戊らは、応対した同店の店員に対し、原告及び原告関連会社の国税に関する調査を行うために臨場したことを説明し、同店の責任者と面談したい旨を申し入れたところ、同店に居合わせた本件店舗の当時店長であった丁と面談することとなった。戊らは、丁に対し、原告及び原告関連会社の国税に関する調査を行うために臨場したことを説明し、税務調査への協力を依頼したところ、丁は、税務調査に協力する旨を返答した。

その際、丁が鞄を所持していたことから、戊らは、丁に対し、鞄の中身を確認したい旨申し入れたところ、丁は、鞄を開いて、その中に入っていた丁ノートとそれに挟んであった丁ノート表(乙1の1ないし3及び乙2)を戊らに渡した。

4  戊らは、丁ノート等を確認すると、店長会議や幹部ミーティングにおけるメモ、売上げと思われる数字が記載されていたことから、それらの数字の意味を丁に対して尋ねたところ、丁は、実際の売上金額を記載したものであると返答した。

5  その後、戊らは、丁を本件店舗に行かせたが、その際、丁から、丁ノート等を預かった。

その後、H国税実査官は、本件店舗に臨場していたIに電話し、丁から丁ノート等を預かっており、これをGまで取りに来て欲しいことなどを伝えた。

6  Iらは、同日午前9時50分ころ、本件店舗に戻ってきた丁に対し、本件店舗の事業概況の聴き取りや売上げの管理状況等について調査をした。J国税実査官は、Gに行って戊らから丁ノート等を受け取った。

7  J国税実査官が丁ノート等を持ち帰った後、Iらは、丁に対し、丁ノート等を提示した上で、丁ノート等に記載されている数字の意味について尋ねた。また、本件店舗で収集した平成10年3月31日分の売上日報(乙5の2)と丁ノート及び丁ノート表を突き合わせたところ、丁ノートに記載されていた売上金額と売上日報の「小計」に記載されていた損金額が一致していること、丁ノート表と丁ノートに記載された数値がほぼ一致していることなどを確認した。また、Iらは、同店において、2月度来客者一覧表(乙6)も収集した。

その際、丁は、Iらに対し、丁ノート及び丁ノート表は、実際の売上げを記載したものであること、それに、1日毎に合計金額として記載してある金額は、客からの売上金額からマッサージ嬢への報酬や各種手当を控除したいわゆる損金と呼ばれる金額であり、それにはタオルの売上金額は含まれていないこと、店長会議で配布されていた資料やデータは真実の売上金額が過少に改ざんされたものであり、しかも、会議終了後に回収されてしまうことから、真実の売上金額を丁ノートへ記載し、店長会議で配布される資料と突き合わせることで、自らが店長として適正に評価されているか否かを判断していたという引き継ぎを前店長から受けていたこと等を説明した。その際、丁は、売上日報の記載の様式や記載方法を変え、それに伴って丁ノート等の記載方法を変えたことはIらに対して一切言わなかった。

8  その後、Iら及び丁は、本件店舗から有限会社Dが経営するKに移動した。そして、J国税実査官は、同店内の事務所において、丁ノート等をコピーした。

Iは、丁ノート等のコピー終了後、同事務所において、丁に対し、丁ノート等のコピーを確認させ、丁ノート等に記載された数値が真実の売上金額であることを再度確認した上で、確認書(乙3)に記載させた。

9  Iらは、税務調査終了後、同事務所において、丁に対し、丁ノート等を返却した。

この税務調査によって、Kの店舗から、平成10年2月及び3月の本件店舗の売上金を集計した表(乙4の1、2)、平成10年3月30日及び同月31日の本件店舗の売上日報(乙5の1、2)が収集された。平成10年3月31日の本件店舗の売上日報(乙5の1)は、本件店舗から収集されたものと同じであった。

10  丁は、その後、本件店舗を退職し、原告やその関連会社の関係者らがその所在を把握できない状態になった。

四  争点についての判断

1  確かに、甲5の丁の確認書には、平成9年12月31日以前は原告主張様式の売上日報が作成されており、それに基づいて丁ノート等が記載されたとの記載があり、原告の関連会社が経営する各店舗の売上日報である甲8の1ないし甲11の2の各売上日報では、原告が主張するように「割引(券)」及び「手当(・アップ)」が控除される前の売上金額が、更に「売上計」にはタオル代が加算された金額が記載されており、これらの売上日報と同様の方式の売上日報に基づいて丁ノートや丁ノート表が作成されたのであれば、その金額の意味も被告の主張とは異なってくる可能性がある。

2  しかしながら、甲8の1ないし甲11の2の各売上日報は、本件訴訟が提起されてから約1年9か月経過した後の平成14年5月17日の第7回口頭弁論において原告から提出されたものであり、この甲号証について、証人乙は、弁護士に言われて捜したところFの事務所の棚から発見した趣旨の証言をしており、これでは、何故これらの書類だけがこのような経緯で発見され、提出されることになったのか疑義があるといわざるを得ず、少なくとも、本件各事業年度において、本件店舗で同様の様式の売上日報が作成されていたとする証拠としては採用できないといわなければならない。また、原告主張のように原告主張様式の売上日報が作成されていたのであれば、前記認定の税務調査の際に、丁から何らかの説明がある筈であるが、そのような説明があったことを認めるに足りる証拠はない。むしろ、前記一の認定事実、本件各証拠及び弁論の全趣旨によれば、平成10年4月1日に実施された税務調査の際、丁は、大阪国税局の調査担当者の戊やIらに対して、丁ノート等には、客から受領した売上金額からマッサージ嬢の報酬や各種手当を控除したいわゆる損金の金額を記載したものであること、それにはタオル売上金額は含まれていない等と説明したことが認められる。また、本件訴訟が提起された後、丁は、その陳述書等(甲5、6)において、平成9年12月31日までは、収集された売上日報とは異なる記載方法の売上日報が使用されていた旨を記載しているが、本件訴訟において証人として出頭することを頑なに拒んでいるばかりか、その所在さえも原告代理人にも明らかにしていない。のみならず、丁ノートには、店長会議や幹部ミーティングにおける議題事項等が詳細に記載されており、その内容は極めて重要であるにもかかわらず、その記載様式に変更があったとの記載が一切ないこと、さらに、丁ノートには、平成9年2月1日から平成10年3月31日まで、各営業日毎に一覧表の体裁で、営業日、客数、損金額、マッサージ嬢の各種手当等、割引額、割引人数の各数値が記載されており、その記載形式、態様からも、平成9年6月1日から同年12月31日までの記載と平成10年1月2日から同年3月31日までの記載とで、変化もみられないというべきである。

3  このようにみてくると、本件各事業年度においても、平成10年4月当時に使用されていた乙5様式と同様の売上日報が本件店舗で作成されていたものと認めるのが相当である。

そして、前記認定事実と本件各証拠によれば、丁ノート等に記載された1日分の合計金額とみられる金額は、乙5様式の売上日報に基づいて記載されたもので、被告が主張するいわゆる損金、すなわち、客からの売上金額からマッサージ嬢への報酬及び各種手当金額等を控除した金額で、タオルの売上が加算されていない金額であると認めるのが相当である。

4  上記のとおりの認定判断を前提とすると、原告の平成9年7月期の所得については、別表9の更正処分前の所得金額、総勘定元帳に計上されていた売上に対するマッサージ嬢報酬相当額、マッサージ嬢報酬割合(50パーセント)は、当事者間において争いがなく、当初の確定申告額に加算すべき「売上げ」のうちの損金計上漏額及びそれに対応するマッサージ嬢報酬相当額は、丁ノート等に記載された1日分の合計金額とみられる金額が被告主張のいわゆる損金であることを前提とし、同表の被告主張額のとおりになると認められ、また、雑収入としてこれに加算すべきタオル売上げも、被告の主張3(1)オのとおり、被告主張額になるものと認められる。

5  次に、原告の平成8年7月期の所得については、少なくとも、更正処分前の確定申告による所得金額である251万6894円あることは当事者間に争いがないが、丁ノート等にはこの事業年度の間の記載はなく、またこれに代わるべき証拠もない。更に、前記のとおりの認定判断によると、この事業年度についても、確定申告の基になった総勘定元帳の売上金額には相当程度の売上除外があったことが明らかであり、結局、所得金額を推計により認定せざるを得ないというべきである。そして、平成9年7月期の損金計上漏額が前記のとおりであるから、本件各証拠によれば、被告の主張4(1)イ(ア)のとおり、平成9年7月期の損金計上漏割合は、67.15パーセントであり、(別表7参照)、この割合を平成8年7月期に更正処分前の売上金額、すなわち、総勘定元帳の売上金額に乗じることにより、平成8年7月期の損金計上漏額を算出すると、別表10の損金計上漏額の被告主張額のとおりとなる。タオル売上げは、被告の主張4(1)オのとおり同表の被告主張額となる。

そうすると、平成8年7月期の所得は、別表10の被告主張額のとおりであり、1億3057万3487円と認めるのが相当である。

6  平成8年7月期の所得が前記のとおりであるから、これを前提とした同事業年度の本件更正処分があったことによる平成9年7月期の未納事業税額を算出すると、別表9の未納事業税の被告主張額のとおりとなる(被告の主張3(1)カ)。

そうすると、平成9年7月期の所得は、別表9の被告主張額のとおりであり、8715万9407円と認められる。

7  なお、原告は、被告が推計により算定した損金計上漏れ割合は異常な割合であり、真実このような高い割合であったとすれば、原告のようなサービス業種では、L発行の平成10年度の業種別財務諸表(甲19)によっても、売上高営業利益率と売上高経常利益率とも5パーセントから6パーセント程度であり、また、暴力団対策費として支出する経費があることなどからすれば、原告の経営自体が到底成り立っていかないなどと主張する。

しかしながら、原告の業種は、ファッションマッサージ業、特殊浴場業と呼ばれる性風俗産業の1つであって、甲19の業種にはなく、他のサービス業に比較して利益率は相当に高いと考えられる。また、前記認定の損金計上漏れは、真実の売上金額が記載された丁ノート等の数値に基づいて算定されたものであり、本件各証拠及び弁論の全趣旨に照らしても、かかる認定・判断が不合理であると考えられる事情は特に見当たらない。原告のこの点の主張は採用できないといわざるを得ない。

8  したがって、原告の本件各事業年度の法人税についての本件各処分は、別表1及び2のとおりであり、いずれも、原告の本件各事業年度の所得金額の範囲内でされたものであるから、適法な処分である。

9  また、原告の本件課税期間の課税標準額は、別表12の「被告主張額」の「〈4〉」ないし「〈6〉」欄のとおり、旧税率適用期間に係るものが4億5047万3000円、新税率適用期間に係るものが2億3686万6000円の合計6億8733万9000円となる。仕入税額控除の額、返還等対価にかかる税額は、別表12「被告主張額」の「〈10〉」ないし「〈15〉」のとおりである。

したがって、本件課税期間の消費税及び地方消費税についての本件各処分は、別表3のとおりであり、原告の本件課税期間の課税標準額の範囲内でされたものであるから、適法な処分である。

10(1)  平成9年7月期の原告の所得は、前記判断のとおりであり、原告がした青色申告の申告書に添付した決算書類は、売上金額が大幅に除外されたものであることが明らかであり、同事業年度に係る帳簿書類の記載事項の全体について、その真実性を疑うに足りる相当の理由があったというべきであるから、平成9年7月期の法人税の確定申告につき、原告には、法人税法127条1項3号に該当する事実があったと認められる。

(2)  そして、前記第二の一の認定事実によれば、東成税務署長は、本件取消処分の理由として、法人税法127条1項3号に該当する事由があることを付記した書面により、原告に通知したことが認められる(同法127条3項)。

(3)  したがって、本件取消処分は適法である。

11  なお、本件訴えのうち、平成8年7月期の法人税の更正処分及び本件課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分の取消を求める部分のうち、それぞれ、別表1及び別表3の確定申告による所得金額又は納付すべき税額を超えない部分については、原告には取消を求める利益がないものと解すべきである。

第四結論

以上の次第であり、原告の本件訴えのうち、前記第三の11の部分については、不適法であるからこれを却下し、その余の本件請求はいずれも理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用につき行訴法7条、民訴法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 八木良一 裁判官 古谷恭一郎 裁判官 谷田好史)

別表1

課税の経緯(法人税)

自 平成7年8月1日

至 平成8年7月31日

〈省略〉

別表2

課税の経緯(法人税)

自 平成8年8月1日

至 平成9年7月31日

〈省略〉

別表3

課税の経緯(消費税及び地方消費税)

自 平成8年8月1日

至 平成9年7月31日

〈省略〉

別表4

関連法人の概要

〈省略〉

別表5

[有限会社A]

平成9年7月期の損金計上漏額の計算(1)

〈省略〉

[有限会社A]

別表6

平成9年7月期の損金計上漏額の計算(2)

〈省略〉

別表7

平成8年7月期の損金計上漏額の計算

〈省略〉

別表8

料金表及びマッサージ嬢報酬割合

〈省略〉

[有限会社A]

別表9

平成9年7月期の所得金額の計算

〈省略〉

[有限会社A]

別表 10

平成8年7月期の所得金額の計算

〈省略〉

[有限会社A]

別表 11

平成9年7月課税期間の課税売上高の計算

〈省略〉

[有限会社A]

別表 12

平成9年7月課税期間の課税標準等の計算

〈省略〉

付表1

[有限会社A]

別表6に関して

平成9年7月期の損金計上漏額の計算(2)

〈1〉XAの欄

別表5 H8年8月~H9年3月小計の〈2〉 137,159,131 売上

別表5 H9年4月~H9年7月小計の〈2〉 74,729,900 売上

137,159,131×100/103+74,729,900×100/105=204,335,537(税抜売上金額合計)

(133,164,204) (71,171,333)

旧売上日報では割引券は「売上計」の後に出てくるから、売上値引を減ずる必要は起きない。

〈2〉XDの欄

別表5 H8/8~H9/3小計X欄 72,268,069

H9/4~H9/7小計X欄 36,035,500

72,268,069×100/103+36,035,500×100/105=104,482,696(税抜)

(70,163,173) (34,319,523)

付表2

[有限会社A]

別表7に関して

平成8年7月期の損金計上漏額の計算

〈1〉 XFの欄

別表5の合計 売上〈2〉の欄 211,889,031

(原告の主張によれば売上値引きを引く必要はない)

〈2〉 XGの欄

別表5の合計 Xの欄 108,303,569

〈3〉 XHの欄

108,303,569÷211,889,031=51.11%

〈4〉 XIの欄 平成9年7月期より

別表5の合計 売上〈2〉の欄 211,889,031

別表5の合計 売上値引の欄 9,949,900 (但し、改訂後の数値)

値引率 9,949,900÷211,889,031=4.69%

平成8年7月期決算損益計算書上の売上金額164,633,200を売上値引前の金額に換算する必要がある

〈省略〉

〈5〉 XJの欄

172,734,445×51.11%=88,284,574

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例