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さいたま地方裁判所 平成16年(ワ)1607号 判決

主文

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1当事者の求めた裁判

1  原告

(1)  被告は,原告に対し,420万円及びこれに対する平成16年4月22日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

(2)  訴訟費用は被告の負担とする。

(3)  仮執行宣言

2  被告

主文同旨

第2事案の概要

本件は,被告との間で,自動車保険契約を締結した原告が,被告に対し,契約車両(トヨタクラウンマジェスタ平成11年型)が同契約に定める「盗難」事故に遭ったとして,自動車保険契約に基づき,車両保険金420万円及びこれに対する平成16年4月22日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めたものである。

1  争いのない事実等(末尾に証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがない。)

(1)  自動車保険契約の締結

原告は,被告との間で,平成15年6月5日,以下の内容の自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結した。

ア 保険種類及び被保険自動車

保証種類

自家用自動車総合保険(SAP)

登録番号

大宮000も0000(トヨタクラウンマジェスタ)

用途車種

自家用普通乗用車(家庭用)

初年度登録年月

平成11年12月

イ 保険金額

車両

420万円

ウ 保険期間

平成15年6月5日16時から平成16年6月5日16時まで1年間

(2)  保険約款(乙10)

ア 本件約保険契約には,保険約款の定めがあり,その第5章車両条項(以下「本件約款」という。)第1条①には,「盗難…その他偶然な事故によって」契約車両に生じた損害に対し車両保険金が支払われる旨の規定がある。

イ 本件約款第2条(1)(イ)には,保険契約書,被保険者又は保険金を受け取るべき者の故意によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の規定がある。

(3)  原告の保険金請求

原告は,平成16年4月21日午後8時55分ころ,東京都足立区ab丁目c番d号ファミリーマートab丁目店(以下「本件店舗」という。)の駐車場において,前記契約車両(以下「本件車両」という。)が本件約款第1条①にいう「盗難」事故に遭ったとして,被告に対し,車両保険金420万円の請求をした。

(4)  被告の支払拒否

被告は,原告の上記請求に対し,本件約款第2条(1)(イ)の免責事由があるとして,その支払を拒否した。

(5)  本件車両と盗難防止装置

ア 本件車両には,盗難防止装置としてイモビライザーが装着されていた。(甲1)

イ イモビライザーとは,キーに埋め込まれたトランスポンダ(電子チップ)固有のIDコードと車両側コントローラのIDコードとを電子的に照合し,IDコードが一致すればエンジンが始動し,一致しなければエンジンが始動しない仕組みの盗難防止装置である。(弁論の全趣旨)

2  争点

本件の主要な争点は,

(1)  本件において,本件約款第1条①にいう「盗難」事故が発生したといえるか(争点2),

(2)  (1)が肯定されるとして,上記の「盗難」事故は,原告の故意によって発生したものか(争点2),

である。

3  双方の主張

(1)  争点1について

ア 原告

原告の従業員A(以下「A」という。)は,平成16年4月21日午後8時55分ころ,原告から本件車両を借用し,本件車両を運転して帰宅途中,本件店舗に立ち寄り,ガムを買い求めようとして本件店舗駐車場にエンジンをかけたまま本件車両を駐車させ,本件店舗においてガムを買い求めた。そして,Aは,ガムを購入し,レジで代金を精算中,レジ近くの出入口のドアが客の出入りで開いた瞬間,本件車両が何者かに乗り逃げされるのを目撃し,ガム代金の精算を中止し,店外に飛び出して本件車両の行方を追ったが,すでに遅く,本件車両は何者かに乗り逃げされた。そこで,Aは,同日午後8時57分ころ,110番通報したところ,警察官が駆け付け,現場検証した。Aは,現場に駆け付けた警察官に被害届を提出し,同届は,同日午後10時30分受理された。本件車両は,その後現在まで発見されていない。これは,本件約款第1条①にいう「盗難」事故に当たるから,被告は,本件車両保険金420万円を原告に支払う義務がある。

イ 被告

否認する。

原告主張の駐車場は,新広橋交差点の一角にあるコンビニエンスストアの敷地内駐車場であり,車両で店舗に乗り付けた者は,車両を店舗に隣接する形で駐車することになる。また,店舗の駐車場側の壁はガラス張りになっており,店舗の中から駐車場を見渡すことができる。このような駐車場で,車両を駐車させた者が店舗に入っている隙に,駐車してある車両を窃取しようとすることは極めて困難である。しかも,Aによれば,当時駐車場には2,3台の車の運転手らしき者が2,3人と,駐車場脇の電話ボックスに少年1人がいたというのである。とすれば,なおさらのこと,そのような人目に付く場所で車両を窃取しようとすることは困難である。

この点,原告は,本件犯行は,プロの窃盗団の一味による犯行か,乗り逃げ犯による犯行ではないかと主張する。しかし,プロの窃盗団の一味による犯行であるとすれば,たまたま本件店舗にプロの窃盗団の一味が居合わせ,本件車両がその一味の狙っていた車種であったという偶然が重なり合ったことになるが,そのような偶然が重なり合って本件盗難が行われたとは考えられない。また,これが乗り逃げ犯によるものとすれば,乗り逃げ目的の者がたまたま本件現場を通りかかり,わずか1分程度の間に,本件車両を乗り逃げしようと決意し,これを実行したことになるが,そのような車両乗り逃げが行われたと考えることも困難である。

上記のとおり,本件車両の盗難状況には不自然な点が多く,車両盗難の事実を認めることができない。したがって,被告には,原告に対し,車両保険金を支払う義務はない。

(2)  争点2について

ア 被告

仮に本件車両が第三者に持ち去られた事実があるとしても,Aの供述には変転やあいまいな点が多々あることや,本件に目撃者がいないこと,さらには現場の駐車場が本件店舗から見渡せる状況にあり,犯人が瞬時に本件車両を窃取することは困難であることなどからすれば,本件車両の持ち去りは偶発的に発生したものといえず,原告とAが共謀の上,盗難を偽装したものというべきである。したがって,本件は,「保険契約者の故意」によるものであり,本件約款第2条(1)(イ)の免責事由に該当するから,被告は,原告に対し,車両保険金の支払義務を負わない。

イ 原告

否認する。

本件は,偽装盗難などではない。本件盗難は,本件店舗の出入口近くにいた18才くらいの少年に目撃されていた。少年は,Aの問いに,「犯人は薄茶色のつなぎの白色の縦じまの服を着た男だった。八潮市方面からぱあっと走って来て,何だと思ったら車に乗っていた。」と話していた。Aは,この少年に対し,警察が来るまでこのまま残って警察官に事情を説明してほしいと要請したが,少年は遅くなるとまずいと言い,自宅の電話番号を告げ,立ち去った。Aは,現場検証のため現場に臨場した警察官に目撃者がいたことを説明し,目撃者の少年に確認してほしい旨の要請をし,警察官は,少年に電話で事情聴取した。このことからも明らかなように,本件盗難は真実存在したものであり,原告とAが偽装したものではない。

第3当裁判所の判断

1  争点1について

(1)  保険契約者の故意の主張立証責任について

ア 商法629条が損害保険契約の保険事故として規定する「偶然ナル一定ノ事故」とは,保険契約成立時において発生するかどうかが不確定な事故をいうものと解され,また,同法641条が,保険契約者又は被保険者の悪意又は重過失によって生じた損害については保険者はてん補責任を負わない旨規定しているのは,保険契約者又は被保険者が故意又は重過失によって保険事故を発生させたことを保険金請求権の発生を妨げる免責事由として規定したものと解される。

本件約款第1条①は,「盗難…その他偶然な事故によって」契約車両に生じた損害に対し車両保険金を支払う旨規定する一方,第2条(1)(イ)は,保険契約者,被保険者又は保険金を受け取るべき者の故意によって生じた損害に対しては保険金を支払わないと定めているところ,これらの定めを上記商法の規定に照らしてみれば,本件約款第1条①は,保険契約成立時に発生するかどうかが不確定な事故はこれをすべて保険事故とすることを明らかにした定めと解するのが相当である。

したがって,本件保険契約に基づき「盗難」事故があったとして保険金を請求する者は,事故の発生が保険契約者等の意思に基づかないものであることについて主張立証すべき責任を負わず,保険契約者等の故意によって保険事故が発生したことは,保険者において,免責事由として主張立証すべき責任を負うものと解するのが相当である。

イ もっとも,保険事故の発生そのものは,保険金請求者が主張立証責任を負うべきものであるから,原告は,本件約款第1条①にいう「盗難」事故が発生したことについて,主張立証すべき責任を負うものというべきである。しかし,車両の「盗難」とは,意に反して車両を持ち去られたことであり,「意に反して」とは,「偶発的に」と同義であって,この偶発性については,上記のとおり,原告の主張立証責任には属しないから,原告が車両「盗難」の保険事故があったとして主張立証する必要があるのは,「車両が第三者により持ち去られたこと」と解するのが相当である。そして,これに対し被告は,そのような車両持ち去りが存在することを否認し,あるいは,そのような車両持ち去りが存在したとしても,それが保険金請求者にとって偶発的なものとはいえないこと,すなわち,それが原告の故意により発生したものであることを主張立証すべきことになる。

(2)  本件車両の第三者による持ち去り(保険事故)の存否について

ア そこで,上記のような意味の車両持ち去りが本件車両について発生したか否かについて検討する。

原告は,そのような第三者による車両持ち去りが発生したと主張し,その根拠として,Aの供述を挙げる。Aは,本訴提起以前,以下のように供述していた。

(ア) 被害届提出時の申告

Aは,平成16年4月21日,本件車両「盗難」後,110番通報し,綾瀬警察署の警察官が臨場したので,同警察官に被害届(乙2)を提出した。それによると,Aは,被害日時を「平成16年4月21日午後8時55分ころから同日午後8時56分ころ」と,犯人の特徴等を「うす茶色のつなぎで白色の縦じま模様の服を着た男」とそれぞれ申告した。

(イ) 被告調査員に対する申告

Aは,平成16年5月13日,被告調査員の調査に応じ,次のとおり供述した。

本件盗難発生時刻は,午後9時ころである。本件店舗内を1周し,結局ガムのみを購入することとした。レジで会計していると,本件車両が本件店舗敷地内駐車場を横切って行くのが見えたので,レジに金銭を置いたまま外に出たが,本件車両は,交差点から松戸方面に逃走していった。本件盗難発生直後,本件店舗の店員に,「110番通報してくれ」と言ったが,すぐに自分の携帯で110番通報した。それから約15分後,綾瀬警察署から2名の警察官が臨場した。警察官から本件車両のナンバーと聞かれたが,分からなかったので原告に連絡した。現場検証を約30分間行い,聴取はそのまま本件店舗で行われた。外に出た際,本件店舗前に設置されている電話ボックスのところに高校生風の人がいて,犯人を目撃していたそうである。その目撃者の証言によると,「つなぎ服を着た人がウロウロしていて,走って来て車に乗って行った。」とのことであった。

イ その後,本訴が提起され,Aの陳述書(甲9)が提出されたが,訴状の記載及びAの陳述書の記載は,上記ア(イ)の供述とほぼ同旨である。しかし,双方から提出された書証,また,裁判所から関係機関に出された調査嘱託の結果,以下の事実が明らかになった。

(ア) ガム購入の時刻等

本件店舗において,平成16年4月21日午後8時から午後9時30分ころにかけてガム1個を購入した客がおり,その客がガムを購入したのは,同日午後8時39分であった。(甲5)

また,同日午後8時57分に,「ブルガリアのむヨーグルト」と「キシリ粒フレッシュミント」を買ったがこれを取りやめた客がいた。その後,同日午後9時に「ブルガリアのむヨーグルト」と「キシリ粒フレッシュミント」を買った客がいた。(乙9(27頁))

(イ) 110番通報のあった時刻

綾瀬警祭がAから盗難の110番通報を受けたのは,平成16年4月21日午後8時57分であった。(甲12)

(ウ) 目撃者

綾瀬警祭は,本件「盗難」に関し,「目撃者なし」と回答してきた。

(綾瀬警察署長に対する調査嘱託の結果)

(エ) 本件店舗における事故報告

本件店舗のフランチャイザーである株式会社ファミリーマートは,フランチャイズ加盟者に対し,店舗で盗難があった場合,110番通報するとともに,同社のスーパーバイザー(店舗指導員)に連絡するよう指導し,さらに,そのような報告があった場合,スーパーバイザーは,これを本社に報告するよう指導しているが,同社には,本件について,何らの報告も上がっていない。(乙3の2)

ウ その後,Aは,受託裁判官による証拠調べ期日において,本件車両「盗難」事故について,以下のとおり供述した。

本件店舗において,ガムのほかに何かを買ったかもしれない。それが何かはよく覚えていない。レジで購入した品物の代金を払おうとした際,左側のドアの方を見ると,本件車両がすごい勢いで走っていったので,取りあえず品物は置いて外に出たところ,車はすごい勢いでぱあっと行ってしまった。店にすぐ入って,店の人に110番通報を頼んだが,ぽかんとしていたので,自分の携帯で110番通報した。その時,入口横の電話のところに自転車にまたがった18歳くらいの人がいて,その人から,「うす茶色のつなぎの白色の縦じまの服を着た人が車に乗って逃げていった。」と聞いた。その目撃者は,家に帰らなければならないと言って,警察官が来る前にその場を立ち去った。その人からは電話番号を聞いた。やがて,パトカーに乗った警察官が来た。そのあと私服の綾瀬警察の人が4,5人で来た。警察官に本件車両の車両番号を聞かれ,分からなかったので,携帯電話で原告に連絡し,教えてもらった車両番号を警察官に話した。また,警察官に,18歳くらいの目撃者がいたと話し,その目撃者から聞いた電話番号を伝えた。警察官はその目撃者に電話をしていた。そのあと,本件店舗の前で被害届を書き,警察官に提出した。

エ 以上によると,本件に関するAの供述については,以下の点を指摘することができる。

(ア) Aは,本件車両「盗難」を発見した際,本件店舗で購入したのはガムであると供述していたが,本件店舗の記録に,午後8時57分ころ客が購入したとされている品物は「キシリ粒フレッシュミント」と「のむヨーグルト」であると聞かされ,自分が購入したのはガムと「のむヨーグルト」かもしれないと言い替えている。しかし,原告は,それまで,一貫して本件店舗で購入したのはガムであると供述していたのであり,これを,ガムのほか「のむヨーグルト」も買ったかもしれないと言い替えるのは不自然である。それをおくとしても,もしAの供述のとおりとすれば,Aは,午後8時57分ころ「キシリ粒フレッシュミント」と「のむヨーグルト」を買おうとしてレジで代金を精算中,本件車両の盗難を発見し,代金の支払は途中にして,外に出,車両乗り逃げの事実を確認し,まず店員に110番通報を頼んだものの,店員が110番通報をしてくれないので,自分で110番通報し,そばにいた目撃者から犯人像を聞き,そのあと9時に,改めてレジで「キシリ粒フレッシュミント」と「のむヨーグルト」を買い求めたことになるが,真実午後8時57分ころに本件車両の盗難を発見したというのであれば,そのわずか3分後に当初買い求めようとした品物を買い求める余裕などないはずであるし,わずか3分の間に上記のような事実関係があったというのも,不自然である。

(イ) また,Aは,一貫して本件車両の「盗難」には目撃者がいたと言い,そのことは警察も知っていると供述する。しかし,前記のとおり,綾瀬警察は,当裁判所からの調査嘱託の回答に「目撃者なし」と回答している。警察がこの点についてことさら偽った回答をしたとも思えないし,その理由もないから,目撃者がいた旨のAの供述は虚偽の可能性が強い。そして,そうとすれば,Aがこの目撃者から聞いた情報として,「犯人はうす茶色のつなぎで白色の縦じま模様の服を着た男であった」と述べているのも虚偽の可能性が強い。

(ウ) さらに,当時,本件店舗内でAの供述するようなことがあったとすれば,株式会社ファミリーマートの指導に従い,本件店舗従業員からスーパーバイザーにその旨の報告があり,さらにこのスーパーバイザーから株式会社ファミリーマート本社にその旨の報告が上がるはずである。ところが,前記のとおり,同社にはそのような報告はされていないというのであり,真実Aの供述するようなやりとりが本件店舗内であったのか疑問がある。

オ その上,Aの供述には,以下のような不自然な点がある。

(ア) 証拠(甲3の1・2,甲4,乙9,証人Aの証言,弁論の全趣旨)によれば,本件駐車場は,24時間営業のコンビニエンスストアである本件店舗の西側敷地内にあり,西側はガラス張りの本件店舗に隣接して車両を駐車させることになるため,夜間でも店舗の中から駐車場を見渡すことができること,また,本件駐車場は,新広橋交差点の一角にあり,西側と東側が道路に接する角地であるため,夜間でも交通量があり,人目に付きやすい場所であることが認められる。しかも,Aによれば,駐車場には人が2,3人,電話の近くには18歳くらいの人がいたというのである。このような人のいる駐車場で,たまたまエンジンがかかったままの車両を,運転者が本件店舗に入った隙に乗り逃げした窃盗犯がいたというのはいささか不自然である。

(イ) また,上記のような状況下で犯人が本件車両を持ち去ったというのであれば,人目につく場所のことであり,しかも車両の運転者がエンジンをかけたまま車両を離れたわずかな隙のことであるから,あらかじめ本件車両を狙ったプロの窃盗団による犯行というよりは,乗り逃げ犯による犯行と考えるのが自然である。そして,そのような乗り逃げ犯による犯行の場合,いずれ車両は発見されるものと思われるが,本件の場合,未だ車両は発見されていない。この点でも本件は不自然である。

カ さらに,Aは,原告に運転手として雇われており,本件時,原告から本件車両を借りて運転していたというのである。そうすとすれば,Aとしては,本件車両が盗難に遭ったりしないよう厳に注意を払い,本件車両から離れる際には,エンジンを止め,鍵をかけて離れるなどの注意を払って然るべきである。ところが,Aは,鞄は持ったものの,エンジンはかけたままにして本件車両を離れたというのであり,これまた不自然である。

キ 以上によれば,原告のいう本件車両の第三者による持ち去りについては,目撃者が存在しない上,唯一これが発生したとするAの供述には,上記のように,虚偽と思われる点や不自然な点が多々あり,たやすく採用することができない。そして,他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,本件においては,本件約款第1条①にいう「盗難」事故の発生を認めることができない。

2  争点2について

上記の次第であるから,本件においては,争点2について判断の必要はない。

3  結論

よって,原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。

(裁判官 近藤壽邦)

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